機による太平洋単独横断飛行。川戸さんを支援する目的で羅府新報の広告
欄で「同期」を募ったところ17人が参集。各自相応のカンパをしてセス
ナ機をリース。操縦席の隣に燃料タンクを積み込んで、川戸さんは羽田を
出発。操縦の腕は予科練仕込みの確かさだったが、アンテナに氷塊が付着
して計器が狂う。目標のシアトルをややはずれ、同市南郊の小さな飛行場
に無事着陸。
横断飛行を成功させた後も、同期会は毎年、春夏秋そして新年と、定期
的に集い、変わらぬ友情と親睦を深めている。若干16〜7歳で難関の学
力テストと適正検査に合格して志願した同期生たちも、今では80歳前
後。現会員は14人。「以前は、それぞれの戦時体験などに話が弾んだ
が、いつしか健康問題や孫の話が多くなってきた」(林昌信さん)。グラ
イダーで敵陣に突っ込む練習、特殊潜航艇(人間魚雷)操舵訓練などに明
け暮れたころと比べれば、現在は平穏な日々が続く。
60余年前の太平洋戦争。あと数日で特攻出陣の順番が来るときに終
戦。国を護り、家族を守るためなら、死を賭して戦うことに何のためらい
も抱かない当時の国情。とはいえ、多感な少年兵の心の葛藤はいかばかり
であったことか。胸にこみあげてくる、それぞれの複雑な思い。脈脈と受
け継がれていたであろう死を昇華させるサムライ精神を、一体どこに持っ
ていけばよいのか—。
国を愛する気持ちの大切さ、つまりは、家族を愛し、人を思いやるここ
ろの大切さは、いつの時代も普遍だ。それは人間性の基本。振り返れば、
波乱万丈の、同じような体験、人生を歩んできた「同期の桜」。7つボタ
ンの絆は永遠(とわ)に固い。(石原)
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