日系人リーダー訪日団帰国:
日米の理解さらに深める、福田首相とも会談
2008年4月3日

福田首相表敬訪問で意見交換する訪日団(内閣総理大臣官邸写真室提供)

前ロサンゼルス総領事の兒玉外務報道官(前列
中央)と訪日団一行(訪日団提供)
日本国外務省および国際交流基金日米センター(CGP)共催、全米日
系人博物館(JANM)協力により実施されている「日系人リーダー訪日
プログラム」(アイリーン・ヒラノ団長)の2008年度一行はこのほ
ど、1週間のプログラムを終え、「故郷日本」との交流に手応えを感じ帰
国の途についた。
全米から選ばれた13人の日系人リーダーは2月29日から3月9日ま
で、東京、福岡、京都を訪問。歴史文化施設の視察や、財界、国際交流団
体などの代表者らと意見交換、シンポジウム、大蔵流茂山家での狂言鑑賞
など、充実した日程をこなした。
今年はまた、福田康夫首相への表敬訪問が実現。首相が昨年11月にブ
ッシュ大統領と会談した際述べた、日米交流強化のためのイニシアティブ
に「日系人との交流強化」が盛り込まれており、それが実現した形となっ
た。一行は約30分間にわたり、日米関係の重要性を再確認するととも
に、緊密な両国関係を長期間にわたり継続していくために必要な事項など
について、首相と意見交換した。
一行はまた、高円宮妃殿下はじめ、同事業に深く貢献した元ロサンゼル
ス総領事の河野雅治外務審議官や、今年1月に外務報道官に着任した兒玉
和夫前総領事、代表国会議員、在京日系人代表、ビジネス界代表者、福岡
県知事や福岡市長らと会談、さまざまな角度から日本への理解をさらに深
めた。
福岡で開催されたシンポジウム「日系アメリカ人との再会—移民100
年の歴史を越えて」では、日系史や日系社会の現状などを討論、一行から
トム・イケダさん、サチ・コトさん、マーク・ヤマカワさんの3人がパネ
リストとして参加した。今年9月に創立100周年記念式典を開催する南
加福岡県人会の協力も得て、会場には学生や家族連れなど約200人が集
まり、日系史やパネリストなどについて、多くの質問が寄せられた。
ヒラノ団長は、事業開始から8年目を迎え初めて首相との会談が実現し
たことについて、「日本側の理解も確実に深まっている。大変意義のある
訪日だった」と述べ、日米間および日系人同士間に安定した友好関係を築
けていると振り返った。また、「代表団は訪日でさらに自身を理解、帰国
後に各地の日系社会でその経験を生かしている」と、各自の取り組みを評
価した。
ロサンゼルスから参加した「KBホーム社」のスタン・コヤナギ副社長
は、「日本のトップレベルとの会談を通じ、日米関係における日系人とし
ての『責任』を再認識した」と述べ、これから仲間とともに、具体的にで
きることを見極めたいという。一方シンポジウムでは、「あまり日系社会
を知らない一般市民と交流でき、日系史を紹介できたことは意義深い。私
のいとこも熊本から参加してくれたが、彼もシンポジウムで多くを学んだ
と言い、日本と日系人の距離が縮んだようだった」と、さまざまな角度か
ら互いを理解できる貴重な経験だったと振り返った。
コンサルタント会社主任パートナーのデービッド・イワタさんは、「8
年目を迎え、代表団は100人近くになった。今度は全米各地に散らばっ
たわれわれが、日本との友好関係の重要性をアメリカ側に訴える役割を担
うべき」とし、日系社会および日本の「声」となる必要があると述べた。
さらに、「米国には新1世や日系人のみならず、軍関係者や留学経験者な
ど、かつて日本に在住、日本文化に精通したアメリカ人が多くいる。彼ら
の中にはわれわれ以上に『日本人』な人も多く、彼らの協力も重要」と、
今後は「日本」という共通点を元に、さまざまな人と日米関係を支えてい
くべきだと話した。
また両氏は、多忙なスケジュールの合間に楽しんだカラオケや屋台の
ラーメンなど、1週間生活をともにした仲間との絆も深まったことに触
れ、「全米規模で日系社会のネットワークが確立しつつある」という。実
際、昨年8月には訪日団のリユニオンがハワイで開催され、集まった40
人は、今後の日米関係のあり方などについて話し合った。今年のリユニオ
ンは11月ごろに予定している。
また、シアトルから参加した元マイクロソフト社のトム・イケダさん
は、代表団のウェブサイトを開設。過去参加した約百人の代表らは活発に
意見交換を続けており、各自日米関係のためにできることを日々模索して
いる。
ヒラノ団長は今後の課題として、日系史や日系人への理解が日本の一般
市民にも広がることを強く望んでいると述べ、日系や白人のみならず、そ
の他アジア系やアフリカ系、またラテン系など、他人種コミュニティーと
日本との交流も深め、さまざまな角度から日米友好関係を強化していきた
いと述べた。
訪日プログラムは2000年から始まり、現在までに計97人の日系人
リーダーが招へいされている。(中村良子) |