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馬主の徳石安男さん:
「競馬のロマン」を熱く語る
日系と競馬界の懸け橋役に
2007年3月24日

 アーケディア市のサンタアニータ競馬場は、東京大井競馬場との友好提
携締結を記念して始めた「東京シティーカップ」(GⅢ)を31日、同競
馬場で開催する。今年で12回目を迎える毎春の恒例レースは、同時に日
本の伝統芸能や観光情報などを広く競馬ファンに紹介するイベント「ジャ
パン・ファミリーデー」を催すことで注目度を高め、日系社会でも競馬は
身近なものになってきた。日本の都市名を冠した親しみのある重賞レース
を目前に、大の競馬ファンであり競走馬のオーナーでもある徳石安男さん
が「競馬のロマン」を熱く語り、日系社会と競馬との距離をぐっと引き寄
せる。
(文・写真=永田 潤)


ハリウッドパークの厩舎でトレーナーのジェシー・メンドーサさん
に綱を引かれるバリバリ。オーナーの徳石さんは、この光景をG1
レースのウイナーズ・サークルで再現するのが夢

「いつかは馬主に」:「模擬ベット」重ねる

 若い頃から硬派で鳴らし、「酒と女と競馬(博打)」を戒めた徳石さん。
渡米後も、意思は固く馬とは無関係の日系の大手証券会社に勤務した。し
かし、多くの人との出会いを経験した中で、海を望む大邸宅で優雅に暮ら
す顧客らが競走馬を数頭所有するのに魅せられ、「いつかはこうゆう人た
ちのようになってみたい」という憧れを抱いた。それが競争馬との出会い
だったことには間違いはないが、馬主となる動機にはならなかった。

 証券マンを辞め、庭園業に身を転じた。そこで成功を収めた資金を元に
日本食レストランを購入。競馬好きの常連客が多く、話を毎日聞かされた。
話のネタのためにLAタイムズを読んで勉強し、馬券を買わない「模擬ベ
ット」を積み重ねた。

 半年間の研究の末1997年、初めて足を運んだ競馬場で掛けた馬が運
良く勝ち続けた。買った馬券は「10」「9」「1」「4」。「ト・ク・
イ・シ」(徳石)のゴロ合わせが見事的中。ビギナーズラックも味方し、
1日で約1万5千ドルを手にした。華々しいデビューで、競馬の世界に足
を踏み入れた。

配当を資金に馬主に:10年後は5頭所有を

 初めての競馬で勝った資金を元手に2000年に牝馬を購入、晴れてオ
ーナーとなった。同年のシドニー五輪マラソンの金メダリスト・高橋尚子
選手のファンだったことから、初の所有馬に「ナオコ」と命名。高橋選手
のような栄光を夢見たが、あえなく足を故障し引退。約3万ドルの損出を
抱えてしまい、挫折感を味わった。

 窮地を救ってくれたのが、2頭目の牡馬「ゴールデン・ビア」。初レー
スから2着、3着、2着、2着、優勝。他の場主たちが目を掛け、高値が
付けられ手放すことにした。手元には、レースの賞金と売却金が残り豊富
な軍資金を元に、ブリードし育てた牝馬「ナウチカルミーティング」が3
頭目の馬。走らせたところ優勝と3着の好成績が続いたため早期引退させ
生産馬にした。

 生産態勢に入ったナウチカルミーティングはサンタアニータ競馬場のコ
ースレコードホルダー(芝、1マイル)である「アーティカス」とかけ合
わせ、来年3月に子供が誕生する。アーティカスはGⅠレースを制した。
優駿の血を引くサラブレッドに期待を寄せると、新たなロマンにかき立て
られる。2009年の初頭に新馬となる日が待ち切れない。10年後には
常に5頭が全米のどこかの競馬場で走っていることを目指す。現在レース
で出走できる馬は4頭目の「バリバリ」。ブリードから調教され、今はデ
ビューを待つのみ。

夢はG1レース制覇:ナカタニ騎手の騎乗も

 アーティカスは日系人の期待を背負うコーリー・ナカタニ旗手に導かれ
GⅠレースで勝利を収めた。輝かしい実績が証すようにナカタニの実力は
誰もが認めている。馬主は優秀なジョッキーを雇い、馬の能力を最大限に
発揮させたい。徳石さんは、次に生まれてくる馬にはナカタニの騎乗を強
く望んでいる。両者は気心の知れた仲。実現する確率はかなり高い。夢は
GⅠレース制覇だ。

奥深い競馬の世界、楽しみはこれから

 馬主はレース中は、運動会で自分の子供が走っているかのように所有馬
をハラハラしながら見守る。贔屓(ひいき)のドジャースが敗れても気分
を害するほど。ましてや、資金を投じ手塩に掛けて育てた自分の馬となれ
ば…。ただでさえ、いつ骨折してもおかしくない競走馬の細い脚。死と隣
り合わせの危険なレース。その意味合いから、命懸けで走っていると言っ
ても過言ではない。信頼関係が大切で、タネ付けから腕のいい調教師、旗
手との出会いなど「人と馬」が密接にかかわり奥深い。

 競馬歴は10年、馬主経験はわずか7年。競馬人生はまだ始まったばか
り。過去10年はこれから先の足場を組み立てただけ。まだ成功したとは
言えず、勝負は始まったばかり。今後も負けない自信はあり、ロマンを持
ち続けたい。楽しくなるのはこれから。

徳石さんの提言:気軽な気持ちで競馬を
頭を使えば勝てる

 「競馬は危険なものではなく、1ドルから遊べる」(徳石さん)。勝つ
気で行くのではなく、日曜日に美しい馬が走るのを見に行く感覚で楽しん
でもらいたい。「20ドル勝てばガソリン代、40ドルで夕食代」「負け
ても馬のニンジン代にしてくれ」というような気軽な気持ちで競馬に入っ
てほしい。

 競馬新聞の情報に表れない隠された数字を見つけ出すことができて楽し
い。下馬評通りに行かないのが競馬で、人生のよう。レースは馬が走って
みるまでは結果を知ることはできない。穴馬がいつかは表れ、ロングショ
ット(万馬券)がいつかは必ず出る。それを当てるのがまたおもしろい。

 初心者はまず賭け方を勉強し、馬券を買ったつもりで競馬場でレースを
観戦してもらいたい。最初から勝つ方法を見つけ出すのは無理。プロのア
ドバイスを参考にすれば負けない術を身に付けることができる。身上をつ
ぶす人もいるが、予算を決め賢くやれば株式を保有するよりも利回りがい
いかもしれない。ビジネスと競馬はとてもよく似ている。頭を使えば勝て
る。

 

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