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着物スタイリスト冨田さん:
日本の着物文化を紹介、伝統から最新まで

2008年4月3日


さまざまな着物が披露された「KIMONO: SEA OF SILK」

 日本で活躍する着物スタイリストでデザイナーも務める冨田伸明さんが
国際交流基金の招きで今月中旬来米し、ラスベガス、ロサンゼルス、オレ
ンジ郡で5回にわたる着物のレクチャーとデモンストレーション
「KIMONO: SEA OF SILK」を催した。冨田さんは自ら制作し、映画やテ
レビドラマ、芝居、雑誌などで実際に使用された着物など十数着を用意。
3月16日の日米文化会館でのイベントでは、会場を埋めた約80人の参
加者を前に、伝統から最新の流行の着物文化を紹介した。

 イベントは冨田さんが説明を行ってから質問に答えるスタイルで、着物
10着に男女のモデルが身を包む。1着ずつ着付けをし、モデルがファッ
ションショーのようにレッドカーペットを歩き、見せた。冨田さんは着物
の伝統から奥ゆかしさ、着こなし、機能性、文化的背景、はやりの着物な
どを紹介。裏方として芸能界で活躍するだけに、ユーモアを交えて参加者
を笑わせたり、感動させるなどエンターテインメント性を色濃く出し、楽
しませた。

 最初に、着物になじみの薄い米国人参加者のために、着物がひと巻きの
反物から作られることを説明した。反物を会場中央いっぱいに延ばし、長
さを強調。巻き直した反物をモデルに着け仮留めすると、あっという間に
着物姿に。これは、冨田さんが独自に考案し、映画やドラマプロデュー
サーにその場で完成イメージを見せるためのユニークなアイデアだ。実際
には、時代考証から入り、登場人物のキャラクターに合わせ反物を選択、
柄の配置を考えプレゼンテーションに入るという。

 日本各地のほか、ヨーロッパ諸国、中国など海外でも紹介イベントを開
く冨田さんは、行く先々で目にする美しい景色を着物や帯に取り入れてい
る。秋田の「蔵」からイメージした着物と、富山の「海越しの雪山」をデ
ザインした帯を披露した。今回の南加ツアーのために特別に制作した着物
は映画の町ハリウッドをイメージ。8ミリカメラ、フィルム、照明などの
撮影機材を描いた。大きな「HOLLYWOOD」サインだが、着物の中
では極めて小さく、おとなしい。存在感を薄くし、着物の「控え目さ」を
静かに訴えたという。

 着物制作の技法も伝えた。昨年のベルリン映画祭で女優檀れいに提供し
た着物の柄は「日本の桜」。レッドカーペットを歩いた時に当てられるま
ばゆいライトを反射させるために、本金箔、純金箔、白金箔をちりばめ
た。「ぼかし」というテクニックを駆使し、着物の上部は濃く、下部ほど
淡い。着る人の背丈を高く、かつ体を細く見せるためだった。ちなみに、
この着物の値段は1000万円を超える。

 日本伝統の着物だが、その時代時代で流行があるという。帯では、芯を
入れないモダンな結び方を見せた。斜めに結んだり、リボンのように柔ら
かくカジュアルな印象を受けるものまでさまざま。「帯は『TPO』を考
え『型』にとらわれない自由な発想で『遊ぶ』」(冨田さん)

 歌舞伎の連獅子、十二単、時代劇「暴れん坊将軍」、ドラマ「斉藤さ
ん」で使われた豪華な舞台衣装など、伝統から流行の着物までを観賞した
参加者は、80人限定。満足した表情で、「今度は日米劇場で」とのアン
コールが多く聞かれた。

 海外での着物の普及に力を入れる冨田さん。初の南加でのイベントを終
え「アメリカ人が喜び、スタンディングオベーションを受けた時がたまら
ない。呼ばれればまた、ここでやりたい」と述べた。

 冨田さんはまた、韓国の民族衣装「ハンボク」のスタイリストで、冨田
さんと同じく有名芸能人の衣装を担当するユンサック・ユーンさんとコラ
ボレート。2人は3月14日夜、ロサンゼルスの韓国街にある韓国文化会
館で開かれた「The Splendor of Asia」に出演した。日韓両国のトップス
タイリストの共演は、華やかなファッションショーとなった。両者は互い
の国の伝統衣装を認め合い、自国にはない表現方法などを学び、刺激を受
けていた。(永田潤、写真も)

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