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創立80周年を迎えた共同貿易社長
金井紀年さん

2006年12月2日

Kanai

東京商科大学予科(現一ツ橋大
学)在学時の1943年、学徒
出陣で陸軍入隊。帰還し、大学
を終え51年、東京共同貿易に
経営参加した。ビジネスの傍ら
社会奉仕に尽力。海外日系人選
挙権運動を支えたり日米文化会
館理事、PANA—USA、南
加日商、群馬県人会、茶道裏千
家淡交会などで会長を歴任する

 第2次世界大戦で徴兵され陸軍経理学校を
経てビルマに赴き、35万人の兵力の兵站
(へいたん)を任された。食糧の調達・輸送
という業務の習得は大きな財産となり、復員
後に経営参加した東京共同貿易で役に立
った。

 「お国のため」に死ぬ覚悟だったが、「ラ
ングーンを死守せよ」と指令した大将以下、
幹部ら司令部の転進にショックを受け、「次
は自分の人生を歩もう」と心に決めた。アメ
リカに食品を輸出したが、「見えない相手に
商売はできない」と渡米。半世紀にわたり日
本食を世界に広めることに情熱を傾けてい
る。

 大ヒットしたクッキーが、コピー商品に敗れアメリカ撤退を考えた。そ
の時出会ったユダヤ系経営コンサルタントから「アメリカ人のまねできな
いものを売れ」「すしだ」とアドバイスされる。「日本人の強みを生かせ
る」と確信を持ち、すしを軸にレストランに売り込み、成功。日本食を全
米に行き渡らせた。

 「商品をただ売るだけではビジネスとはいえない」。「共存共栄」を重
んじ、自社、取引相手、消費者(社会)を念頭に置く。他国に物を入れる
には「文化として根付かせること」が持論。それを実行し、日本食文化を
海外に浸透させたと自負する。

 幾度の失敗から多くのことを学んだ。「ビジネスにはリスクが付きも
の」。トラブルはそれら苦い経験があるから乗り越えられ、「逆境こ
そ、好機」と捕らえる。さらに、「経験は創作性を生み出し進歩させてく
れる」と力を込める。

 「すしの先駆者」の次の狙いは「地酒」。「酒(SAKE)は あくまで
酒、ワインではなく、日本食には酒しか合わない」と言い切る。八十三歳
の今でも柔道で鍛えた体は健在で、日本出張を繰り返し講演や新たな商品
探索のため全国を奔走。疲れることもあるが、ビルマ戦線で死と向き合っ
たことと比較すれば何でもない。仕事が生きがいで、趣味でもある。生涯
現役を貫き、「世界の人たちにおいしい日本食を食べさせたい」
(潤、写真も)

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