小東京は規模の大きさでも、盛衰の振幅でも海外日本町を代表する存在
であるため、この町の歴史に精通することは世界に雄飛した千余の日本町
の歩んだ道程(みちのり)を類推するために大いに役立つと五明氏は考え
ている。
発刊の経緯
数年前、ロサンゼルスの某新聞主幹より「小東京の将来や如何に」との
課題を与えられた。古きをたずね新しきを知ろうと、リトル東京の軌跡を
たどるうち、この町の形成には日米関係が深く関与していることが分かっ
た。そこでまず2004年に日米関係史「アメリカは日本をどう報じてき
たか」(日本図書館協会選定図書)を出版し、ロサンゼルス・タイムズな
どから「リトル東京」と記されるようになってからちょうど100年にあ
たる本年に本命であるリトル東京史を発刊することとなった。
本書概略
ロサンゼルスはメキシコ領から米国領になったものの、メキシコの山賊
が横行する未開の地として四十年近くも東部の移住者から敬遠されてき
た。危険を顧みぬ毛皮商人しか訪れぬこの僻地(へきち)を西部の都に変え
たのは、豊かな水に着目した投資家たちだった。彼らは広大な土地を買い
占め、自ら交通機関を敷設して空前の土地ブームを巻き起こした。
北部の日本人は新興都市のビジネス・チャンスを求めて漸次ロサンゼル
スへ南下してきたが、サンフランシスコの大震災を機にその流れは奔流と
化し、大移動が起こった。日本人の人口増加があまりにも急だったので、
温厚で鳴らすロサンゼルス・タイムズが突如日本人脅威論を唱え始めた。
それを受け、ロサンゼルスは排日都市に一変し、日本人は身を守るため砦
となる日本人町を急きょ作る必要に迫られた。
戦後、強制収容所から解放された日本人は5年の努力の結果、小東京を
元の姿に復興させるが、それを待っていたかのように都市計画で町の中心
部が取り壊された。これに対処して二世有志らはジャパニーズ・ビレッ
ジ・プラザを建設し、多くの日本企業は共同で旧ホテルニューオータニを
竣工し洋々たる船出をした。しかし、小東京生誕100周年を控えた昨年
夏、相前後して両物件が日本文化に縁遠い不動産会社に売却され、日系社
会にショックを与えた。
近年多くの公的日本文化施設ができたが、民族タウンを残すにはやはり
生きた文化の存続が必要と五明氏は主張。そのためには日本民族が土地を
所有することが大前提という。ところがリトル東京のシンボルである両物
件があっけなく消滅し、記念行事どころか皮肉にも致命的な暗雲をただよ
わせる事態になってしまったと嘆く。
価格は20ドル75セント。税込み価格22ドル46セント。
有名日系書店ほか全米日系人博物館で取り扱っている。メールオーダー
(送料無料)もできる。
詳細は五明氏まで、電話とファックス213・625・1155。
五明洋 神戸市出身、神戸大卒。小東京在住30年。リトル東京歴史
協会会員。全米日系人博物館会員。
主な著書「アメリカは日本をどう報じてきたか」(日本図書館協会選定
図書)、「幻のカリフォルニア若松領」(日本図書館協会選定図書)、
「食品衛生in USA—HACCP SYSTEM」(米国衛生指針書)、「外食産
業—成功の条件in USA」(米国経営指針書)
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