たら異性どうしの2人が、肩が触れ合うくらいの距離で座り、2人の手が
時々交差したり、時には重なり合ったり、指と指が一瞬擦れあったりする
という、うれしはずかしのオマケまで付いているのです。意外に感じるか
もしれませんが、ブラームスはこの流行をうまくとらえ、有名な「ハンガ
リー舞曲」をはじめとする多くの連弾曲を書いています。楽譜がよく売れ
たおかげで、ふところも潤ったようです。
フォーレの組曲「ドリー」、ビゼーの「子供の遊び」などは、曲名から
しても、その傾向がよく表れており、「ソナタ」なんていうような難しそ
うで退屈そうなものより、ずっと楽しそうですし、実際に今でもそれらの
方が演奏される機会も多いのです。もう少し高度なものを弾きたい人のた
めには、オーケストラ曲のピアノ連弾用編曲というのもありますし、もっ
と簡単なものをという人には、高音部が簡単で低音部がやや難しい、生徒
と先生用のものもあります。これなら、簡単なパートは片手だけで弾ける
のに、全体の音としてはちゃんとした曲になっている、というわけです。
時代がかわっても、オマケの部分の楽しさは変わることがありません。
数年前から日本でブームになっている大人のためのピアノ教室。仕事帰り
にそこに通うオジサマたちの中には、純粋に上達したいという人に混じっ
て、若くてかわいい先生と連弾をするのが、ハラハラ、どきどき、緊張す
るような、ときめくような、それを楽しみにしている人もいるようです。
ちなみに、連弾は常に2人だけでやるものではなく、3人用の曲もありま
す。しかも何かの編曲ではなく、純粋に六手連弾のための曲です。ラフマ
ニノフが知り合いの3姉妹のために作曲しました。既存の曲を六手連弾用
に編曲したものもあります。狭くて大変でしょうけれど、憧れの異性2人
の間に挟まれて弾くのなら、それも気にならないのかもしれません。連弾
の楽しみは、昔から音楽だけではないのですから。
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