ウエストハリウッド市議会は2月、ペットストアで犬や猫の販売を禁止する条例案を承認した。昨年、サウスレイクタホでも同様な条例が施行され、「ペトコ」や「ペッツマート」といった大手ペットストアではすでに、アダプション以外の目的で子犬や子猫の販売を自粛している。
こうした動きの背景には、①ペットストアで販売される犬猫の出どころに問題がある②シェルターは満杯で、毎年10万匹以上が安楽死させられている―などがある。
では、ペットストアの子犬や子猫はどこから来るのか。そのほとんどは、動物の健康や衛生面を考慮せず商品扱いし、ひたすら繁殖、「商品」を産めなくなった母親を殺すことを繰り返す「ペット産業業者」(パピーミルズ)。不衛生な飼育環境により、伝染病などにかかっている動物も多く、購入したばかりの子犬が死亡するということも珍しくない。
また、ペットの数が人間の人口を上回り、各シェルターは溢れ返っている。特にこの不景気の中、「レイオフされ、ドッグフードを買う余裕がない」「フォークロージャーで家を失い、引っ越し先のアパートではペットを飼えない」などとシェルターに持ち込まれるペットは急増する一方。
全米動物愛護協会によると、09年にロサンゼルス市と郡が運営するシェルターで安楽死させられた犬は3万5000匹。猫は6万7000匹。それらの費用はもちろん、われわれの税金である。
不衛生な環境の中、商品のように扱われ、感染症にかかっているかもしれないと知ってもまだ、ペットストアから購入しようと思いますか。不況で、家族同然のペットを泣く泣く手放さなければならない人がいる中、それでも自分のペットに子供を産ませようと思いますか。産まれてきた2~8匹の子犬や子猫すべて、責任をもって面倒を見られますか。2人~8人の飼い主を見つけられますか。
シェルターには、しつけの行き届いたペットがたくさん余っています。どうか、これ以上むだに増やさないで下さい。【中村良子】