11月28日から始まった米韓軍による黄海での共同軍事演習は1日に終了した。北朝鮮による新たな挑発はなかったものの、朝鮮半島の緊張はまだ続く。韓国・延坪島砲撃をみてもわかるように、北朝鮮の行動は予測が難しい。いつ日本に被害が及ぶか分からない。自国の軍隊を持たない日本にとって、日米同盟の重要さを疑う余地はないだろう。
ところが、現在の日米同盟は磐石とは言い難い。「トラスト・ミー」とオバマ大統領に言っておきながら、沖縄米軍基地移転を混迷させたまま退陣した鳩山前首相の責任は大きい。
今年一月に都内で講演したルース駐日大使は、「在沖米海兵隊は、最も一般世論から理解を得られていないが、平時、有事を問わずわれわれが配備している部隊の中で最も重要である」と強調している。
ホリデーシーズンを迎え、海外駐留から帰還した父親が内緒で子供の学校を訪れる。嬉しいサプライズに笑顔の子供が父親の首にしがみつく、という光景が度々ニュースで取り上げられる。「家族と離れているのが一番辛い」と各兵士。必ずしも好意的に受け入れられることがない彼らだが、当然、大切な家族がいるのだ。
11月末に行われた沖縄知事選で現職の仲井真氏再選を受け、辺野古に基地を移設するとした日米合意の履行は依然厳しいまま。在日米軍による騒音やさまざまな事件に長年悩まされている沖縄県民の負担軽減に何ができるか、政府は2日、経済振興策を含め本格調整を始めた。日本国内で基地周辺に住んでいなければ、関係者以外、米軍の存在を意識することは少ないだろう。だが、在日米軍の存在は不可欠。沖縄県だけではなく、国全体の問題として国内でもっと議論が活発化してほしい。
中国が提案した6カ国協議首席代表会合について、現時点では米国は時期尚早としているものの、日米韓3カ国の外相会議が7日開催に向けて最終調整中だ。舵取りの難しい状況で菅政権は日本国民の安全を守らなくてはいけない。後手後手の対応は許されない。【下井庸子】