このまま放置するつもりなのか、オバマ大統領は先週末の恒例ラジオ放送で「ガソリン価格の高騰を止める即効薬はない。化石燃料に変わるエネルギー源を開発していく必要がある」と言明。いまだに戦略石油備蓄の放出を躊躇している。
4月25日現在、ロサンゼルス地区の平均ガソリン小売価格は1ガロン4ドル23セント。1年前と比較しても37%(1ドル14セント)の値上がり。もはや異常を通り越して「狂気の沙汰」というのが消費者感覚。
リビアをはじめとする中東産油国の政情不安、中国などでの需要増大、石油投機筋の儲け主義などが高騰理由に挙げられているが、そうした中でも何とか工夫して解決策を講じていくのが政治家としての役目。石油に代わる代替エネルギーが必要なことぐらい、小学生でも、とうに知っていることだ。
その代替エネルギーだが、太陽熱、太陽光、風力、水力、火力、地熱、雪氷熱、波力、バイオマスそして原子力発電などさまざま。
福島第一原発事故で原子力発電の安全性が問われていても、原発は有力なエネルギー源との認識はすでに定着。万が一を考えて、何重にも安全装置が施されているはずなのに、福島では大津波に襲われ、危機的惨事に直面。
菅首相は「総力を挙げて、慎重に対処している」と、当たり前の発言を繰り返し、枝野官房長官も「漏れた放射性物質の量は、ただちに人体に影響を及ぼすことはない」と繰り返す。かと言って、長期的にみてまったく心配ないのかというと、そのへんの説明がない。事態収束の見通し説明もあいまい。
首相も官房長官も原子力の専門家ではない。原発に関しては、はっきり言って素人である。ベクレルだ、シーベルトだと神妙な面持ちで細かい数字を原発素人に読み上げられても、同じく素人の国民が理解しようとしても無理なのである。
分かりやすく正確な情報が伝わらないと、必要以上に不安や不満が増幅する。原発事故にしてもガソリン価格高騰にしても、即効薬がなければないなりに、解決に向けた手だて、施策の説明は欠かせない。【石原 嵩】