アメリカに来た当初、とても驚いたのは、1年中スポーツが充実していることだ。NBAプロバスケの終盤の春には、野球のメジャーが開始され、秋のプレイオフの頃には、大学やNFLのプロフットボール、そしてアイスホッケーが始まり、年末年始の冬の終盤には大学バスケが盛り上がり始め…春の大学選手権(マーチマッドネス)の頃にはMLSのプロサッカーも始まり…。さらにそれぞれのスポーツのシーズン合間にはオールスター戦。道理でESPNというスポーツ専門のTV番組が成り立つ訳だ。それも中継は世界規模でだ。
 スポーツが素晴らしいのは、「筋書きの無いドラマ」であり、生放送になるとまさに真の感動が伝わる。汗をかきながら思い切り肉体を動かす選手たちの姿が、夢、希望、勇気を聴視者に与えてくれるからだ。
 ふと思ったが、前記のスポーツはみな団体競技だ。そしてその発祥地は、野球とバスケとアメリカン・フットボール(もちろん!)はアメリカ。サッカーは、大昔に中国でプレーしていたそうだが、近代サッカーとしてはイギリス。ラグビーもイギリス。アイスホッケーはカナダ。ところで、日本発祥のスポーツは、柔道、相撲、空手(厳密には沖縄)、剣道(韓国説も)など個人競技ばかりで団体競技は皆無だ。なぜだろう? よくよく考えると不思議な気もする。
 日本の野球はすでに世界のトップレベルだが、その国が発祥地のスポーツは、強くて当たり前だ。それゆえ人気もある。そう思うと、日本発祥の団体スポーツがあり、アメリカそして世界中に普及していれば、今頃、さらに気の入る観戦が出来たのになあ、と感じてしまう。
 ところでラグビーファンである私には今秋に開催される4年に一度のラグビーワールドカップが楽しみだ。海外からの選手も入り、アジアの中ではダントツトップ。日本代表以前に外国の代表経験がなく、日本に3年以上在住すると代表資格が与えられる規定によるものだ。
 無理とは思うが、生きている間に日本がイギリスやニュージーランドを倒して優勝出来る日を見てみたいものだ。【長土居政史】

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