10月に入り店頭はハロウィーングッズで溢れているが、1カ月ほど前は「Back to College」商戦が展開され、大学進学にあたり親元を離れ新生活を始める学生が生活用品を買い揃えていた。
 先日ABCニュースの「Made in America」のコーナーで、ある大学の寮の生活用品のカタログに掲載されているのはすべて外国製品で「Made in America」が1つもないことが報じられた。
 実際には、ジョージア州のタオル製造会社やオハイオ州の写真立て製造会社で生産された商品は、カタログに掲載の外国製品と同価格なのに加え3倍も長持ちし、同テレビ局のレポーターが外国製品と国内製品を比べてみたところアメリカ製品だけで買い揃えた方が92ドルも安く上がった。
 入学準備の際、学生1人当たり平均約800ドル、全米で約460憶ドルを消費する。もし消費者が米国製の商品で買い揃えるようになると、国内に約50万人の新たな雇用が見込めるようになるという。
 一方今盛んに繰り広げられている次期大統領選キャンペーン。各候補者が口を揃えるのは「雇用創出」と「Made in America」。国内産業を活性化し、いかに雇用を増やすかを重要視している。
 しかし国内雇用が争点となっている選挙戦で、キャンペーンTシャツが「Made in America」だった候補者はロムニー氏、バックマン氏、ハンツマン氏の3人だけ。そのほかの候補者はエルサルバドル製など国外製品を使用しており、矛盾が目立ってしまった。
 ワシントン州のTシャツ製造会社ベイサイドアパレル社は全米12州でおよそ500人の従業員を抱え、今後ほかの候補者からの発注が増えればさらに500人を採用したい考え。その後、キャンペーンTシャツをあわてて米国製に切り替えた候補者がいるのは言うまでもない。
 ついこの間まで安い労働力を求めて海外生産に主力を置いていた米国が急に「Made in America」を叫ぶようになった変容ぶりにはいささか驚かされるが、一国の代表者争いの中で言っていることとやっていることが違うという事態はあってはならないと思う。【吉田純子】

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