リバーサイドを訪れた仙台敬老奉仕会の視察団とリバーサイド市関係者

あいさつを交わすリバーサイド市のラバリッジ市長と吉永団長。左から2人目はIRCのロバーツ会長

 宮城県仙台市にある医療や介護を必要とする人に奉仕するボランティア団体「仙台敬老奉仕会」(会長=吉永馨医師)の視察団一行が12日、リバーサイド市との姉妹都市事業の一環で、アメリカの医療施設や介護ホーム、ボランティア活動を視察するため同市を訪れた。
 一行は、東北大学名誉教授の吉永馨団長を筆頭に、仙台敬老奉仕会のメンバーや関係者ら総勢18人。吉永団長は、家族と離れて介護ホームなどで生活する高齢者の話し相手となる「寄り添い」ボランティアのニーズの高さに比べ、実際奉仕してくれる人が少ない現実を懸念、ボランティア活動が広く浸透するアメリカの実情を学び、日本にも取り入れたいと訪米した。
 リバーサイド・コミュニティー・アート・アソシエーションで12日に開かれた歓迎会には、ロン・ラバリッジ市長をはじめ、国際友好関係協議会(IRC)のカリン・ロバーツ会長ら多数が仙台からの一行を迎えた。
 ラバリッジ市長はあいさつの中で、昨年5月に義援金を手渡すため仙台市を訪れた経験を振り返り、「仙台で見た光景、避難所で聞いた壮絶な被災体験は一生忘れない」と述べるとともに、「リバーサイド市が高齢者に提供しているヘルスケアは素晴らしいので、ぜひ多くを学んでほしい」と一行を激励した。
敬老ナーシングホームの視察で居住者に声をかける吉永団長

 約1週間の視察の中で一行は、リバーサイド市内の医療施設2カ所のほか、ロサンゼルスの敬老引退者ホームとナーシングホームを視察。吉永団長は、ボランティアの数の多さ、アクティビティーの豊富さ、居住者の明るい雰囲気に関心を寄せた。
 視察団の一人で、介護老人福祉施設の事務長を務める野辺地弘恵さんは、ボランティア・コーディネーターの資格を取得。今後施設でボランティアを積極的に受け入れていくといい、「ボランティアが皆、やりがいをもって取り組んでいる。それが居住者にも伝わり、雰囲気がいい」と感動。また、「施設側もボランティアを信頼し、受け入れ態勢が整っている」と、今後の参考にしたいと話した。
 6年前の設立当初から仙台敬老奉仕会に携わる保険コンサルタントの鈴木和美さんは、「日本には、イベントごとに施設を訪れる単発ボランティアはいるが、アメリカに浸透しているような長期的、定期的な『見守り型』はいないのでとても参考になる。今後日本でも取り入れていきたい」と述べた。
敬老ナーシングホームのアクティビティを視察する仙台敬老奉仕会の視察団(左)

 仙台市とリバーサイド市の友好関係は、大学婦人会仙台支部の有志が1951年、仙台の米陸軍病院に入院中の兵士を見舞ったことに始まる。花束とカードを受け取ったこの兵士は、リバーサイドに住む同会リバーサイド支部の会員であった母親にこのことを話し、故郷で大きな反響を呼んだ。それを機に、リバーサイド市に東北大学女子学生のための奨学金制度が設立され、両市は1957年に姉妹都市提携を結んだ。
 以来、学生交換留学や奨学金制度の設立、河北新報とリバーサイドプレスの記者交換、文化交流など活発に活動。東日本大震災発生後、リバーサイド市はいち早く義援金集めを開始し、2カ月で50万ドル(現時点で60万8000ドル)を集め、現在でも物心両面から仙台市を支援している。
 リバーサイド市は、一番歴史の長い仙台市の他、6カ国7都市と姉妹都市提携を結んでいる。
【中村良子、写真も】

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