バーンスタインさん(右手前)の指揮の下、福島鎮魂歌を合唱する合同合唱団
 日系の8合唱団が合同した東日本大震災の復興支援チャリティコンサートが11日、ウエストコビナ・クリスチャン教会で開催、参加者約200人から4000ドルを超える寄付を集めた。公演の最後には、全合唱団、総勢120人による福島鎮魂歌が初披露され、被災地へ捧げた。
 犠牲者の鎮魂がテーマであるとともに「震災、過去、現在、未来(希望)」へ思いを込めた。混声3部合唱で構成し、ピアノ伴奏付きの楽曲計15曲を歌い上げた。
 曲の合間にはボランティアとして被災地に渡った三村・ラザール・晶子さん(LA第九)と土田三郎さん(LAメンズグリークラブ会長)の報告が行われた。医療ソーシャルワーカーの三村さんは3月に福島・相馬市、5月には宮城・石巻市に入り活動。気丈に振る舞う被災者ばかりだったが、強い精神力が崩れた時が危険だと警鐘を鳴らした。「『心の復興』が必要」と説き「被災地のことを忘れないで」と訴えた。土田さんは山形・酒田市出身の東北人のため、被災者の心の傷みがよく分かり、1人暮らしの年寄りを特に気遣う。避難所から仮設住宅に移ると独居となり「寂しくなって、見捨てられた感じがする。寄り添ってあげなければならない」と強調。被災地への慰問を促し「自分なりに考えて『絆』を感じてほしい」と願った。
 慈善公演は、日系合唱団「LA第九」を指導するジェフリー・バーンスタインさんが発起。テレビニュースなどで大津波による惨状を見て心を傷め「何かできないか」と昨年11月、「Fukushima Requiem (福島鎮魂歌)を作詩・作曲したという。そして「メモリアル・コンサートをやろう」と団員に呼び掛け、他の合唱団が共鳴。合同公演が実現した。
 鎮魂歌の詩は、海(東北沖)に眠る竜神が目覚め突如、暴れて地震と津波を起こし、静かに暮らしていた人々を飲み込み、賑わったかつての漁村は失われる。だが、竜が再び眠ると海からの恩恵を受け、町は潤いを取り戻す。この詩に「静と動」を表現する曲をつけて、強弱を出した。「3・11(同震災の記念日)は決して忘れてはならない」と力説するバーンスタインさん。公演を終え「音楽を通して、みんなの心が1つとなった。毎年、同様のコンサートを開いた方がいい」と述べた。
 公演を主催した実行委員長の棚野泰全さん(LA第九代表)は、日系の合唱団が参加を快諾したことに謝意を表し、震災後の日本が感じた「絆」をここでも味わったと喜ぶ。「このコンサートで生まれた連帯感や絆を大切にしたい。被災者支援は長期にわたるので、これからも合唱を通して助けていきたい」と、慈善公演の継続に意欲を示した。
 寄付金は南加福島県人会を通して被災地へ直接送られ、福島の音楽活動の再興に役立てられる。【永田潤、写真も】
チャリティーコンサートで美声を披露する男女混声の合同合唱団

「燕が来る頃」を歌うOCFC(Orange County Friendship Choir)

「故郷」を披露するLAメンズグリークラブ

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