約1400人が参加したコンサートは無料で行われ、在ロサンゼルス日本国総領事館と国際交流基金LA日本文化センターの共催。冒頭のあいさつで新美潤総領事は「日本は一人ではなく、世界の国々から励ましの言葉をもらい助けてもらった。ロサンゼルスと米国軍からも緊急支援をもらい感動した」と述べ、地元から訪日し救援活動を行ったヒーローの活躍を称えた。伊藤実佐子LA所長は、同公演が世界ツアーとして開かれ、当地を皮切りにニューヨーク、パリ、上海など3カ国計8都市を回ることを紹介し「世界の『トモダチ』に感謝の意を示すため」と意図を説明し、参加者に犠牲者へ捧げる黙とうを促した。
軍艦20隻、航空機140機、海兵隊1万9703人を動員し、負傷者の救出、避難所への慰問などを行った「トモダチ」作戦を展開する米軍の支援活動を紹介。国内外の支援を得て、道路や空港などが復旧し、元の町の姿を徐々にではあるが取り戻していった。
世界の人々が祈り、各国から支援物資や義援金が届いた。物心両面で支えられた被災者が登場。脱帽し「ありがとう、ありがとう」と幾度も頭を下げ、感謝の念に絶えない様子。家族や友人など多くを失ったのであろう。中には感極まり言葉を詰まらせ、涙ぐむ女性もいた。「皆さんのお陰で救われた」「たくさんの愛と勇気をありがとう」「前に進んでいきます」などの思いを伝えた。
JETプログラムで滞日していた米国人英語教師テイラー・アンダーソンさんは、子どもたちを先に避難させその後、津波の犠牲になった。生前の思い出を振り返りながら教え子たちは「テイラー先生、ありがとう」と、天国の恩師に捧げた。
公演では、被災地岩手から参加の「涌水神楽」は、伝統衣装に身を包み、太鼓と鉦、舞踊で幻想的な世界へと導いき、世界各所で公演するプロの和太鼓集団「鬼太鼓座(おんでこざ)」は、勇ましく力強い演奏を披露。サックスやトランペットとのコラボレーションも見られた。地元カルバーシティ中学の生徒は、この日のために自分たちで作った竹製の(和)楽器を叩いて、拍手喝采を浴びた。
サンタアナから参加したウォレコ・ローゼンバーグさんは、京都と東京で暮らしたことがある大の親日家。日本での5年間は、大手企業を相手にシステムソフトウエアの販売を行ったり、医者に英語を教えたりした。震災支援では、寄付を国際交流基金を通して送った。この日のビデオを見て「涙が出ましたねー」と話し、銀閣寺近くに住んだ当時を懐かしんだ。「広島と長崎が再生したように被災地は必ず甦る」と力を込めた。伝統楽器の演奏に聴き入り「とてもユニークでセンセーショナルだった。世界を平和にしてくれるような音楽で、言葉がないほどすばらしかった」と絶賛した。
【永田潤、写真も】