例年になく寒さが厳しく大雪に見舞われた冬も去り、ようやく春の訪れが巡ってきた。4月1日は恒例の隣駅「宮崎台さくら祭り」、残念ながら今年の開花は間に合わない。それでも公園や駅前通りは歩行者天国になり、好天に恵まれて大勢の市民が集まった。
 駅前広場のステージには、高校生のバンド、近くの団地の和太鼓グループ、ダンス教室の発表会などが開花目前の桜の下で繰り広げられる。カラフルな衣装を身にまとった幼いわが子の晴れ姿を撮る親たちは夢中だ。
 周りには屋台も並び手芸品や震災復興支援の品々も売られている。公園では周囲に食べ物屋台やゲームブースが並び、餅つきまであってロサンゼルスの行事を思い出す。お祭りにも、商店街の店々、学校の父兄や生徒、ボーイスカウトや各団地の同好会などが一体になって運営する姿は気持ちがよい。
 この近辺は東京への野菜やタケノコの供給地だったが、渋谷から中央林間を結ぶ田園都市線が通じてから急速に通勤に便利な新興住宅地として発展した。
 適度に丘陵に恵まれたこの辺りの地形は変化に富み、西に富士山を望み渋谷まで20分と便利だ。周囲は多くのマンションビルが立ち並びその中に農家だった地主の旧家が点在する。まだまだ畑も残り手軽に取れ立ての有機野菜が楽しめる。農家の寄贈だろうか、至る所に実にたくさんの小公園があり市民の憩いの場になっている。また古くからのお寺やお宮が多く、初詣、豆まき、盆踊り、秋祭りなどは大勢の人出で賑わう。旧家の地主たちが率先して寄付をし、ここをわが町と思い定めた人たちが大勢寄付に参加する。
 東京砂漠の近郊も、新興住宅地であれば若い町はみんなが新参者なのでよそ者扱いは受けない。それどころか自分たちでよい町にしようと、コミュニティー作りに積極的に参加しているようだ。
 東京近辺にはこうした多くの新興住宅地があり、各々特有の「わが町」が作られている。周りはまだまだ自然に恵まれ、子供たちはたくさんの思い出を作りわが故郷にできる。強固なコミュニティーは安全な町作りにつながる。この町の発展を楽しみに見守りたい。【若尾龍彦】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *