今回の体験茶会は、淡交会オレンジ郡協会の小泉宗由幹事長が総指揮を行い、本席を濱野宗富さん、立礼席は野垣宗珠さんが受け持った。「茶会を初めて体験する人のためにも簡単で分かりやすく味わってもらおう」と、薄茶だけとした。
英語だけの説明の席も設け、客の心得や作法、用いられる茶道具の持つ意味、茶道特有の精神性などを分かりやすく解説し、好評を博した。夏季ならではの茶器として、鵜飼いやトンボの模様やガラス製、浅くて平らな形の茶碗、茶杓は「涼風」と「せせらぎ」が用いられるなど納涼感を醸し出した。
本席は、亭主を大角一隆さん、半東は禅宗寺北米別院開教師の小島秀明さんが務め、立礼席の点前は半田俊夫さん、半東を長谷川雄二さんが行い、各自ていねいにもてなした。半田さんは昨年、淡交会オレンジ郡協会の会長に就任。半年前から茶道を始め、この日が亭主としてのデビューとなった。「緊張して手が震えた」というが、無難にこなした。今日庵参事の松本宗静師から1、2度アドバイスされたものの「堂に入ったような立派な点前だった」と誉められていた。
正客の松本師は、男性がもてなす茶席について「お茶は、明治時代までの昔は大名のものだった。今は女性が多いけど、本来は男性がやっていた」と強調。「男の方にもっとお茶に興味を持ってもらうために、みなさんに頑張ってもらいたい」と期待を寄せた。この日の茶会については「大きくてすてきな家に招かれ、お茶をいただけてすばらしかった。お茶よし、湯加減よし、点てる人の点前よし。家元(千宗室)に見せたかった」と絶賛した。
金井会長は、共同貿易会長を務めており、このたびの点心席の食事を振る舞った。献立は、本業からの発想を生かし「『京都のお茶』、『関東(東京)のそば』を組み合わせた茶会にした」といい、新旧、東西の都の食文化をうまく融合させた。通例の茶懐石とは一味違った親しみを感じ、茶会のテーマにふさわしい点心となった。茶会を総評し「忙しい世の中でお茶を飲むことで心を和ませ、自分のことをゆっくりと考える時間が持てたと思う。男の方が茶の湯に触れるいい機会になりまた、アメリカ人にも茶道と日本文化のよさを分かってもらえた」と胸を張った。松本宗静師が呈した賛辞を素直に受け入れ、今後の励みにしたいとした。好評を得たことで体験茶会の継続に意欲を示し「来年は100人くらい呼びたい」と、抱負を述べた。【永田潤、写真も】