あれ、最近おかしいぞ。なんだかフリーウエーがすいすい走れちゃう。そう気がついたのは1年くらい前からだろうか。
というのは、週2、3回、35マイル先の会社に出る。渋滞を外せば約40分で行ける。朝晩の通勤時間帯にぶつかると、その倍の1時間20分はゆうにかかっていた。
ところが最近は夕方5時に退社してうっかりフリーウエーに乗っても、45分後には帰宅して、小さなショックを受けている。早く帰れるのだから、うれしいはずだ。なのに気が晴れない。人間とはおかしなものである。なぜ、こんなに高速がすいているのだろう? 疑問がわく。
不況で流通が減ったから? 失職者数だけ通勤量が減ったから? 節約の一環で皆の外出、外食が減ったから? 理由はともあれ、人出が少なくなったのは確かだ。
そういえば小物を買いに行く店では、棚に並ぶ商品の数が情けない程少なくなって久しい。ガランガランの時もある。仕入れても売れない。売れないから仕入れを止める。そういうことだろう。
洋服のブランドも品質の悪い安物に入れ替わってきた。粗雑な素材に強い色とゴタゴタした模様のものが大半を占めている。
食料品の買出しもそうだ。一品のだいたいの値は分かっている。20品目買っても頭の中で総額を計算してレジに行く。トータル額を言われて、えっ、と思うことが多くなった。概算と10―15ドルずれているから。嫌味だが、レジ計算の数字と品目を合わせてみる。合っている。一品が25セント、50セントと見えない額上がっているからだった。
大通りの大型店舗が軒並み閉店してリースの看板が出ているのも侘しい。周りの小売店も共倒れ。
住宅ローンの支払いなどが終わり、多少の余裕のある年齢の者でさえ、こんな事に不安を覚える。子育て真っ最中、家や車の支払いありの中堅層の暮らしは、どんなに圧迫されていることだろう。
経済が回復すれば人々は消費活動に戻る。経済社会が回り、流通が活発化してフリーウエーも混むだろう。
だから、もう混んでも文句はいいません。早く混んでほしい。妙な願いをもつ昨今である。【萩野千鶴子】