詩吟を習い始めて2年目となる高橋裕さん
 国峯流詩歌吟詠・峰月流吟舞尚道会(仁田尾国康・南加地区理事長)が9月30日、ロングビーチ市のハーバー日系人会館で秋季吟詠大会を開催した。北加地区のサンマテオ支部から鎌谷国錠・主席師範ら3人の吟士が訪れる中、およそ40人が集い、日頃の練習の成果を発揮。北加と南加地区の吟士が互いに交流を深める大会となった。

北加地区のサンマテオ支部から参加した吉田裕峯さん
 開会と同時にあいさつに立った仁田尾理事長は、北加地区からの参加者を歓迎するとともに、「『吟道すなわち人道』であることを忘れず、これからも詩吟を勉強していってください」と吟士たちに呼び掛けた。
 会歌斉唱のあとに吟詠が始まり、無号から初伝、中伝、奥伝、皆伝、総伝と続き、最後に師範の吟が披露された。吟士たちは互いの吟に静かに耳を傾け、勉強する姿勢が垣間見られた。
 大会初参加の伊藤世紀子さんは「日本の伝統芸能を学びたい」と思っていた時に友人の紹介で詩吟教室があることを知り、今年1月から習い始めたという。感情を込め、発声もきちんと行い、節ごとに決まりごともあるため思っていた以上に難しいが、「練習の成果が実感できるので楽しい」と語る。初めて大会に参加し、「同じ吟でも吟じる人によって違い個性がでるので聞いていて参考になる」と早くも意欲を見せた。
 詩吟を習い始めて2年目となる高橋裕さんは、大会への参加は今回が2回目。「練習するごとに声が出るようになっている」と語り、日々上達している様子。脳梗塞を患い、健康のために習い始めたというが、吟じる時の複式呼吸が「健康維持にも一役買っているような気がする」と明るい笑顔で答えた。
 北加から訪れた鎌谷主席師範は「南加地区の吟士たちは元気いっぱいに吟じていて素晴らしい」と称賛。北加地区の会員数はおよそ50人だが、南加同様、北加でも会員数の減少と高齢化が進んでいることが問題視され、「若い吟士を増やしたくても、若者は詩吟ではなくカラオケに興味をもってしまう」と現状を嘆く。
 しかし、近年では米国人の生徒の姿もあり、詩吟を通して日本語や日本の歴史を教えるなど、その魅力を伝えるための工夫をこらしている。
仁田尾理事長と鎌谷主席師範は南北力を合わせて同会が発展するよう協力することを誓い合い、再会を約束した。【吉田純子、写真も】

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