学生時代に出会った留学生仲間と十数年ぶりの再会を果たすため、イギリス、フランス、オランダを訪れた。滞在中は旧友との再会だけでなく、各国の違いを学べる貴重な旅となった。
大学はニューイングランドの田舎にあり、ヨーロッパやアフリカからの留学生が多く、イギリス、オランダ、ドイツ、スペイン、トルコ、ルーマニア、ブルガリア、マケドニア、ロシア、アゼルバイジャン、マリ出身の留学生らと仲良く勉学を共にした。
ソーシャルネットワーキングが普及した今、世界に散らばった仲間とも互いの近況や生活の様子を容易に共有することができるのは非常にありがたい。しかし、実際に彼らの故郷を訪ね、肌で異文化を感じるのは夢だった。
今回再会を果たしたのは、イギリス人元ルームメイトをはじめ、オランダ人など5人。法学部に通っていた元ルームメイトは現在法廷弁護士に、当時10代の少女だった友人は立派な2児の母に、5カ国語を流ちょうに話していた友人は行政機関の広報担当にと、それぞれの姿に10年という歳月を感じた。
イギリスもフランスも歴史の宝庫で素晴らしかったが、特に印象に残ったのがオランダ。九州ほどの規模しかない小国でありながらしっかりと存在感があり、また、うわさには聞いていたが、多くの人が英語を流ちょうに話す。
「オランダ語は英語とドイツ語の中間に位置している」「異国と隣接した環境が助長」「イギリスやアメリカのテレビ番組がオランダ語の字幕付きで流れている」など、英語を学習できる環境が整っているのもその理由。
しかし、オランダ人の友人が教えてくれた最大の理由は、「生き残りの手段」だそうだ。「小さな国だから、私たちから発信していかなければ他国とコミュニケーションが取れなくなり、孤立してしまう」といい、英語、ドイツ語、フランス語を流ちょうに話すオランダ人は多いが、オランダ語を話す外国人はほとんどいないと教えてくれた。
オランダの10倍の面積を誇る日本も近年、国際化の影響を受け英語教育に力を入れ始めているようだが、英語学習に加え、「自ら発信していく」という意識も高く持つべき時に来ているように思う。【中村良子】