5月に心臓部のステント(太腿の血管からチューブを挿入し、心臓部の血管を広げる)措置を受けた私は、担当医の推薦もあり、病院のリハビリ部門でプログラムに沿ったリハビリ訓練を受けることになった。
訓練センターはTorrance Memorial Specialty Centerビルの3階で、窓からはパロスベルデスの丘陵地帯が見渡せる明るいフロアだ。ここは心臓疾患者用の訓練所で、フロアにはフィットネス・クラブにあるような器具類が十種類設置され、症状に適したものを使えるようになっている。ナースの資格を持つ女性4~5名が常駐し、私たちのケアをしてくれる。週3回各1時間の訓練だがナースの監視下にあるのでついつい必要以上に張り切り、終了後は足腰が少々ふらつくほどだ。
帰り際にナースの女性から「ミスター・カワイ、一段とストロングになったね!」なんて声をかけられ、短時間でそんなに変わるはずはないのだが本人(私)は「サンキュウ、サンキュウ」といいながら、まんざらでもない充足感に酔ったりしている。この施設の費用は、専門医の推薦があればメディケア保険が80%、私の場合、個人加入保険が残りをカバーしてくれる。ただし、利用期間は3カ月でその後は施設の利用状況によるとのことだ。
毎回、トレーニング用の服装で受付に申告し、名札と携帯心電図計を受け取り装着。体重、血圧測定を受け、さらに私のような糖尿病患者の場合は血糖値の検査も受け、ようやく器械・器具の使用が認められる。実訓練が終了すると、全員がミーティング・ルームに集められ、担当ナースの講義が10分程度あり、心臓病に対する注意事項などについての説明があり終了となる。ひとつ残念なのは、運転手として付添う妻にも、器具に空きがあれば一緒に訓練させてほしいと希望したが、事後のレクチャーへの参加以外は断られた。
私は毎回、妻に氷と麦茶を入れた携帯用のジャーを用意してもらい、帰りの車の中でこれを飲むことにしている。ひと運動した後の『冷たい一杯』はなにものにも代えがたい至福のひと時だ。
【河合将介】