ある目標に向かって活動することを意味する「○活」が日本でブームだという。
もともとは、バブルがはじけ、その後のリーマンショックによる不景気に陥ったころ、就職活動をする学生たちの間で省略語として盛んに使われた「就活」が元祖。それ以前にも、中・高校生たちの放課後のクラブ活動を指した「部活」が多用されたこともあり、ことばの響きとして「○活」は耳慣れた存在だった。
今では、結婚相手を探す「婚活」、自分の葬儀や遺産相続などを取り決める「終活」、早朝に趣味や勉強に励む「朝活」あたりが、ポピュラーな使われ方。
このほかにも、恋愛の出会いを求める「恋活」、妊娠・出産に向けて努力する「妊活」、子どもを有名保育園に入れるために奔走する「保活」、はたまた離婚に向けた準備をする「離活」まであるというから、いそがしい。若年層だけでなく、あらゆる世代に「○活」が求められているのだ。
そこで、一つ提案。
ハロウィーンも過ぎ、デイライト・セービングタイムが終わって、つるべ落としの秋の夜長に、がんばって創作活動に励む「創活」はどうだろう。折りしも、本紙恒例の新年懸賞文芸が公募の真っ最中だ。小説、随筆、詩歌、短歌、俳句、川柳と多岐にわたる創作を募集している。締め切りは11月18日だから、まだ2週間ある。
日ごろ心に抱いている自分の素直な気持ちを文字に移し替えて、思いのままを表現することの楽しさ、素晴らしさ—。もちろん、創作にはいわゆる「産みの苦しみ」もつきまとう。しかし、作品が完成したときの達成感、充実感は何事にも代えがたい格別な感慨。そうした喜びを多くの人びとに味わってもらえたら、懸賞文芸の意義はさらに増すことだろう。
入選作と佳作は、1月1日特別号で発表されるが、俗に、活字になると文章は3割ほど上手にみえる、ともいわれる。紙面で自分の創作を読む楽しみは、産みの苦しみの3倍返しになるはずだから、奮ってご応募を!【石原 嵩】