「故郷」の大合唱をリードする生徒たち
「故郷」の大合唱をリードする生徒たち
 歌のインストラクター新原由美さんと新原さんの教え子が共演する歌謡ショー「歌の仲間たちと共に」が24日、参加者約270人を集めホリデーイン・トーレンスで開かれた。ソロにデュエット、合唱などを聴かせ、生徒32人が重点的に習った「ハーモニー」を奏で熱唱し、レッスンの成果を発揮した。
パイオニアセンターへの寄付金贈呈式。左から新原さん、センター会長の宮崎さん、西さん
パイオニアセンターへの寄付金贈呈式。左から新原さん、センター会長の宮崎さん、西さん
 ショーは、LA歌謡クラブを運営する新原さんと各種司会でお馴染みのタック西さんが「初心を忘れないように」と始め、今年で19回目。幕の内弁当を食べ、歌を楽しむ秋の恒例イベントは、収益を日系の教育機関や奉仕団体などに寄付するチャリティーショーとして行われ社会への貢献度は高い。幕間に授与式を開き、日系パイオニアセンター会長のマック宮崎さんに1000ドルを贈った。宮崎さんは、LA歌謡クラブの長年にわたる寄付の継続に謝意を表し、ショーについては「生徒のみなさんが上手に歌って、すばらしい歌を聴かせてもらった。80歳、90歳、100歳になっても歌い続けてほしい」と述べた。
 出演メンバーは、ポップスを好む20代から、演歌など往年の名曲を歌う80代まで、男女の各年代が揃っているのが特徴。さらに、新2世や4世などの20代の若者が多くいて、日本語が不得手な生徒も歌詞の持つ意味を勉強し、米国育ちとは思えない、きれいな日本語で歌を披露している。ショーでは、生徒たちがレッスンで学んだことを忠実に守り、情熱を込めて歌い、1曲終わる毎に大きな拍手が送られた。
「もしもピアノが弾けたなら」のデュエット。筋師美智恵さん(左)と神尾由美子さん
「もしもピアノが弾けたなら」のデュエット。筋師美智恵さん(左)と神尾由美子さん
 生徒はこの1年間、「ハーモニー」の習得を目指し練習に励んできた。東京音楽大で音楽理論を学んだ新原さんによると、音程には高低の幅があり、シャープやフラットなどで表現される無数の音が集まって構成されていて、その中に唯一つ存在する「ピッチ」が合わないとハーモニーにならないという。「ピッチが合ってこそ、初めて音程をとり、ハーモニーを出すことができる」と強調し、習いながら繰り返し練習し体で覚えると、ハーモニーは意識せず自然に出すことができると説く。
 レッスンではまた、ここ数年、力を入れた感情表現を徹底した。呼吸法や横隔膜、音程、骨格をフルに使う歌唱のテクニックを身に着けたとしても「フィーリングを表さないと、オーディエンスには気持ちが伝わない。それができないと歌ではない」と力を込める新原さん。歌詞にある「うれしさ」や「悲しさ」をただ笑ったり、泣きまねして、顔で作るだけでは感情表現と認めず「感性を磨いて、内面から自然に出てくるフィーリングを表現して、それをハーモニーに乗せて声を使って聴く人に伝えるのが『感情表現』」と説明。ショーについては「アマチュアなりに素直にフィーリングを表現してくれた。みんなが、一生懸命歌ってくれ満足し
「ふたりで竜馬をやろうじゃないか」をディエトする背古ゲイリーさん(左)と村田真二さん
「ふたりで竜馬をやろうじゃないか」をディエトする背古ゲイリーさん(左)と村田真二さん
ている。100点をあげたい」と評価した。
 LA歌謡クラブ主催の同ショーは、来年20回記念を迎え、またタック西さんの司会業50周年を同時に祝う予定。新原さんは記念のショーに向け「レベルを高めるために、音楽的密度を濃くしたい」と話し、「密着する『テクニック』と『感情表現』を自然に出して感性を磨く指導がしたい」と意気込んだ。
 新原さんは「本当の音は1つしかない」という持論を持ち、厳しく指導する。レッスンでは「音的に許せず、壁に当たった」ことが多々あり、生徒を叱りまくったといい「偉そうなことも言ったが、みんな信じて付いてきてくれた。これからも同じもの(歌)を求める仲間と一緒にがんばりたい」と述べた。【永田潤、写真も】
「故郷」の合唱で、会場を練り歩き参加者にマイクを差し出す新原さん(右)
「故郷」の合唱で、会場を練り歩き参加者にマイクを差し出す新原さん(右)

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