今年の冬はとても暖かく過ごしやすい。大雪が降っている東海岸に出張に行った人などは、帰ってくるとたいてい風邪を引いて、「西海岸は天国」と笑顔を見せる。ところがいいことばかりではない。例年冬に雨が降るというのに、今年は全くその兆しがない。例年冬は、わが家の芝生の水やりは1週間に1度。どうせ雨季だから水やりしなくていい、とたかをくくっていたが、雨が降らないので、だんだん黄色く枯れてきた。友人の家は、昨年人工芝へ切り替えた。水道代も節約でき、手入れの面倒や枯れることもない。先日訪れた公園では、大きな池があったのだが、水位がかなり下がっていた。ハイキングをした山も、土や木が乾燥しているのが一目で分かる。4歳になる娘はプールが大好き。「プールはいつ入れるの?」と聞いてくる。今年の夏は水不足でプールが出せるかどうか心配だ。
ブラウン知事は17日、「今年は100年に1度の干ばつ」として非常事態を宣言した。各地の貯水池では記録的に水位が下がり、場所によっては完全に干上がり、ひび割れた底が姿を現わしている。このままでは農作物や飲料水に深刻なダメージを与えるので、対策が練られている。
また、16日に発生したグレンドーラで起きた山火事は、700ヘクタールにわたって燃え広がった。原因は違法なキャンプファイアと見られているが、干ばつによって乾燥した山は燃えやすくなっているという。
一方で、知事の発表によるとカリフォルニア州の財政は大幅に改善している。引き続き問題ではあるものの、失業者の数も減少し、税収は増えている。批判にさらされている概算680億ドルに上るサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道の建設、250億ドルと見積もられている二つの水路の建設など、大型プロジェクトに知事は意欲的だ。
干ばつが州経済に水を差さないことを願う。【下井庸子】