生徒は学校で2年間学んだ後、美容サロンやブライダル関係の仕事に就く。米研修は十数年前から始まり毎年、奈良さんを頼って訪れており、引率者の同校講師、柴﨑多恵子さんは「有名な先生に教わるのは、一生に1度のチャンスで、特殊な技術を学ぶことができ、世界を知り、グローバルに視野を広げるきっかけになる」と、その意義を説明する。
講習は、ナチュラルメイクと特殊メイクの2種類で、最後に実技の試験を受け、全員が修了証書を手にした。生徒は皆、外国人のモデル、講師とも初の経験で、日本人と大きく異なる顔立ち、肌の色や英語での授業は新鮮だといい、メモを取りながら写真を撮ったり、質問をしたりと、1度しかないチャンスを逃すまいという意志が感じられた。
ナチラルメイクでは、白人女優をモデルに奈良さんが模範メイクを披露した。奈良さんは、白人相手には、シャドウの使い方がポイントだとし「その人の顔の特徴をさらに目立たせることを心掛ければいい」とアドバイス。生徒は互いにメイクをし合う「相モデル」と呼ばれる練習方法で、早速習ったことを試した。特殊メイクは、刃物、銃などの傷に流血をつけたり、殴打によるあざ、やけど、ケロイドなどを学んだ。実際に自分の腕や手にメイクをし、見せ合っては「本物みたい」などと出来映えを評価し「難しいけど、思ったよりもうまくできた」という声が多く聞かれた。
講師のマイケル・パックさんは、「メン・イン・ブラックⅡ」や「スター・トレックⅡ」など映画やドラマに出演するスターにメイクを施す一流の腕を持つ。今回の生徒について「本当の基礎を教えた。みんな真剣に聞
奈良さんは、通常なら1カ月以上かかることをわずか3日間で教えたとし「いっぱい詰め込んだけど、生徒は一生懸命聞き、着いてきてくれた」と評価。奈良さんは、ユニオンに属し、ハリウッドの多くのメイキャップアーティストと親交しており「成功する人はメイクの腕はもちろん、人に優しく接する心を持っている」と強調する。生徒には、技術面のみならず、美容に対する態度について「いつも笑顔を忘れずに『みんなをきれいにしてあげる』という心を持ち続けてほしい」などと、教えていた。【永田潤、写真も】