ユニオンバンクは地域融和を図り2011年に、金融教育の一環として、フレズノ・マクレーン高に同行初の校内支店を開設した。3年間に従事した計30人のうち5人が同行に就職した上に、大学進学率が高まる成果を挙げているという。この成功を受け、今回の2校同時に支店開設の運びとなった。
リンカーン高の学生行員エステバン・カタランさんは、人生で初めて仕事を手にしたといい「チームワークの大切さを習い、お客さんの口座を開く手伝いがおもしろい。人と社会の役に立つ仕事ができてうれしい」と喜んで業務に当たる。大学進学を希望しており、将来は機械エンジニアになる夢を持つ。受け取る奨学金は「大学に入るまで使わず、セーブしたい」と述べ、どこに預けるかの問いには、もちろん「ユニオンバンク」と笑顔で答えた。
リンカーン高は6日、グランドオープンのセレモニーを催し、関係者が式辞を述べ、男女12人の学生行員の門出を祝った。マーチングバンドが演奏、チアガールは妙技を披露し、式典に花を添えた。
校内支店開設を「画期的な出来事だ」と、表現するユニオンバンク副会長でリテール担当役員のティム・ウェネスさんは「地域の発展と生徒の将来に有益である」とプログラムの意義を強調。学生行員一人ひとりと握手を交わし激励した。
ユニオンバンクのエクゼクティブ・バイスプレジデント兼地域統括のラティシア・アギュラーさんは同校の卒業生で、今回のプログラムを取り持った。苦学したため、母校への思い入れは強い。15歳の時にメキシコから移民し、今回の支店となった教室でESLのクラスを取った。将来が嘱望されたが、家庭には学業を継続させる金銭的余裕はなかったという。校長に退学の意思を伝えると、バンクオブ・アメリカの仕事を紹介され、放課後働いて学費を稼いで卒業し、同社に32年間務めた。
アギュラーさんは、転職したユニオンバンクは「コミュニティー活動を支援する投資を行っている素晴らしい銀行。このたびは、世話になった母校の手伝いができて感激している」と喜ぶ。後輩に対しては「いい学業成績を収めて大学に進学し、成功してほしい。プログラムの参加生徒は、銀行業務に就かないとしても、ここでの経験はきっと役立つと思うので、社会貢献を果たしてほしい」と期待を寄せた。
リンカーン高支店の営業は、火曜を除く平日午前10時から午後3時で、生徒は週平均2、3時間、交代で業務に当たる。業務内容は預金と引き出しに限り、顧客は全校生徒1342人と教師、学校職員が対象。【永田潤、写真も】