スクラムからトライを決める#8のホラニ龍コリニアシ(手前左)
スクラムからトライを決める#8のホラニ龍コリニアシ(手前左)
 ラグビーのパシフィック・ネーションズカップに参戦した世界ランク12位の日本代表は14日、カーソンのスタッブハブ・センターで同18位米国代表と対戦し37―29で退けて2勝目を挙げ、勝ち点9でB組1位を決めた。敵地でカナダ、米国を相手に2戦2勝し、テストマッチの連勝記録を9に伸ばした。好調を持続して帰国し21日に行われる強敵イタリア戦に臨み、北米遠征の成果を発揮する。【永田潤、写真も】

好走しトライを挙げるウイング山田章仁
好走しトライを挙げるウイング山田章仁
 試合は前半8分、日本がインターセプトを許し先制された。12分、SH田中史朗がトライを決め7―7。WTB山田章仁の好走によるトライで17―7とリードを広げたが、トライを奪われるなど一進一退の攻防で17―17で折り返した。
 後半、日本はフォワードが踏ん張りスクラムで圧倒し、バックスの不調を補った。セットプレーを鮮やかに決め、ナンバー8ホラニ龍コリニアシが、開始直後と14分に、ともにスクラムから連続トライを決めるなどで34―17。だが、米国のWTBに2トライを挙げられ、34―29に詰め寄られる。終盤まで攻防が続いたが、日本はスクラムでPKを誘うなどし逃げ切った。
 来年のワールドカップ英国大会1次リーグで日本と米国は、同じB組に入っているが、両チームの監督とも「W杯は来年のことなので、まだ話すことはできない」などと話した。
 日本のエディー・ジョーンズ監督 今日はいいプレーができたとは思わないが、勝てたことが大きい。世界のトップ10に入るには相手を徹底的に仕留めなくてはならない。判断ミスがあったが、セットピースが上手く決まったのでリカバーできた。
ゴールを決めるフルバック五郎丸歩
ゴールを決めるフルバック五郎丸歩
バックスの調子がよくなくまた、米国のラインスピードが良かったので、クイックボールを出すことができなかった。でもスクラムで競り勝ったので、アメリカはびっくりしていると思う。日本はアウェーで、カナダに勝ったのが28年ぶり、アメリカに勝ったのは15年ぶりで、この2年間でカナダとアメリカにホームでもアウェーでも勝つことができ前進していると思う。次のイタリア戦に勝つことが大事。イタリアのスクラムとモール、キックの3つを阻止して、われわれのラグビーをやりたい。課題は、集中力が大事だとこの遠征で分かった。
 日本のリーチ・マイケル主将 スクラムでアメリカに勝てたのは、日本独特のプレッシャーを掛ける練習をしてたためで、力が付いてきたと思う。チームは成長していて、負けていても簡単に諦めず、精神力がついてきた。でもまだ世界のトップ10ではないので、アメリカ相手に10点差を付けるくらいにならないと強くなれない。アウェーで勝てたのが良かったし、モチベーションを保ち、イタリア戦に備えたい。
パスを出すスクラムハーフの田中史朗
パスを出すスクラムハーフの田中史朗
 米国のマイク・トルキン監督 残念な結果に終わったけど、先週の試合(スコットランドに敗北)よりも選手は、やる気を出して臨んだので、今夜はいいパフォーマンスができたと思う。後半の開始10分から日本がペースアップして2トライを許し、われわれは着いて行けなかった。後半に粘りをつけることが、課題だと分かった。スクラムで競り負けたので、もっと強くならなければならない。次の試合(対カナダ)のことだけを考えているので、来年のワールドカップについては、互いの代表メンバーも決まっていないので分からないし、対戦する日本の対策を練るのは、まだ早い。
 米国のトッド・クレバー主将 僕は日本でプレーしているので、日本が手強いということを知っていた。日本のスクラムが強かったのは認めるけど、負けて悔しい。満員のスタンドでプレーした先週の試合よりも、今夜は観客が少なかったのが残念だったけど、僕自身は母国でアメリカ代表としてプレーできて幸せだった。ワールドカップに向けて、代表メンバーがそれぞれのクラブチームで意識を高めレベルアップを目指し、日本だけでなく対戦するすべての相手国の研究をしなければならない。
日の丸を振り「ニッポン!」
地元日系のゴジラのメンバー

 日本にとって不利なアウェーの中、スタンドではロサンゼルス唯一の日系クラブチーム「ゴジラ」のメンバー約20人が最前列に陣取り、その一角だけは、秩父宮ラグビー場のような独特の雰囲気を醸し出した。星条旗を掲げ「USA」を連呼する米ファンに、日の丸を振り「ニッポン!」と応酬。日米の応援合戦は、場内の大型スクリーンに映し出された。
 メンバーは、試合開始直後にサッカーW杯での日本代表の敗戦の悲報を知ると「ラグビーで取り返そう」と士気を高めたという。約10人は、勝利したカナダ戦も観戦し「エディー・ジャパン」の実力を実感したが「アメリカ戦もアウェーなので」と気を引き締め、懸命に声援を送って勝利を後押しした。試合後は、行きつけの和食店で、勝利の美酒に酔いながら、試合を振り返るなどラグビー談義に花を咲かせた。
 ゴジラは、15人、7人制ともに活動し各大会に参加している。来年のW杯、2016年の五輪、19年のW杯日本大会もずっと「母国チームをサポートする」といい、ラガーメンの結束は固い。
星条旗に対抗して、日章旗を広げて応援するゴジラ・ラグビーチームのメンバー
星条旗に対抗して、日章旗を広げて応援するゴジラ・ラグビーチームのメンバー

タックルをかわし疾走するウイングの福岡堅樹
タックルをかわし疾走するウイングの福岡堅樹

激しいボールの奪い合い
激しいボールの奪い合い

ジャンプしてボールを奪い合う日米の選手
ジャンプしてボールを奪い合う日米の選手

ノーサイドで健闘をたたえ合う日米両チーム
ノーサイドで健闘をたたえ合う日米両チーム

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