
南加日系商工会議所(青木義男会頭)が運営する「日米修好百周年記念奨学金基金」の奨学金授与式と、功労者顕彰式が26日、モンテベロのクワイエット・キャノンで催された。奨学金は、優秀な成績で高校を卒業し今秋、大学に進学する日系子弟20人各自に1000ドルが贈られ、参加者96人が前途を祝した。また同奨学基金で尽力するアイリーン、エモリー・リーさん夫妻の功績をたたえ表彰した。

同基金は、日系子弟の育成を目的に1960年に日米修好100周年を記念し創立され、南加日系社会で最古の奨学制度という。南加日商の会員や日系社会の有志、日系企業からの寄付金を原資とする。授与式を毎年、入学前のこの時期に催し、今年までに、受賞者1695人に総額82万1950ドルを贈っている。
式典で青木会頭があいさつに立ち「受賞者の皆さんの両親と同奨学金制度の創設者や日系社会の先人への『感謝』の心を忘れないでほしい」と力を込めた。日系社会には、各自が奉仕する活躍の場があるとし「大学卒業後に戻って来て、社会の発展に貢献できるような人になってもらいたい」と祈念した。
来賓を代表し、新村出・日系担当領事が祝辞を述べ、次世代を担う若者を育成する南加日商基金を称賛し、外務大臣が同基金の支援を確約することを伝えた。受賞者の活躍にエールを送りながら「将来は、日米の友好関係にも貢献してほしい」と期待を寄せた。
受賞者はみな学業のみならず、クラブ活動などに力を入れ文武両道を進むとともに、地域社会の奉仕活動に励む生徒も多く、将来が嘱望される。1人ずつステージに上がり学歴と進学先、専攻などが紹介され、青木会頭から賞状を、奨学金寄付者である12の基金、夫妻、個人からは、お祝いと励ましの言葉とともに奨学金のチェックが贈られた。
受賞者を代表してダイアモンドバー在住でUCバークレーに入学するシーン・エイサク・キタヤマさんが謝辞を述べた。奨学金について「将来の目標に向けて、学業を修めることはとても重要で、奨学制度はその助けになり、すばらしい機会を与えられた」と、多大な支援へ感謝し、今後については「われわれは学業に励み、それぞれの道で、まい進したい」と抱負を述べた。

顕彰表彰のアイリーン・イトウ・リーさんの父は、南加日商元会頭で同奨学基金を設立し、運営に尽力した故伊藤謙治さん。アイリーンさんは、故人の遺志を受け継ぎ記念基金を設け、夫エモリーさんとともに南加日商基金に献金を続けている。謝辞では受賞について「思いもよらないもので身に余る」と謙そんしながら「同基金は50年以上もの間、活動を継続していて偉業だ。父の遺産を大切にしてもらい、深く感謝したい」と敬意を表し、基金の永続を切に願った。
基調講演は、リトル東京歴史保存協会会長で、全米日系人博物館、二世週祭、モンテベロ―芦屋姉妹都市協会、マンザナ国立史跡などに属し、奉仕に精を出して25年が経つマイケル・オカムラさんが行った。講演では受賞者へ、日系社会、特に小東京を支えるボランティアの重要性を説いた。
オカムラさんは、鳥取、和歌山、福島にルーツを持ち、先祖を敬い墓参を欠かさない。祖父は小東京でトーヨー花店を営み、両親はボイルハイツ在住時にマンザナ強制収容所に移送された経験を持つだけに、日本と日系社会、小東京への思い入れは強い。自身が日系社会に貢献するための心得とする「関心を持つのは何か」「自分の得意とするものは何か」を伝授し、「これらの2点を肝に銘じて、リトル東京や各自の日系社会で奉仕に励んでもらいたい」と期待をかけた。【永田潤、写真も】