「西羅府近郊詩吟同好会」(下前国信委員長、会員28人)は21日、同会の発足50周年を記念した式典および吟詠大会をウエストロサンゼルスで催した。会場には、他地域で活躍する各流派の師範らが駆けつけ、流派を超え、吟を通じて生まれた交流と友情、そしてその長きにわたる同会の歴史を祝した。
同会は1964年、国誠会の清水国人師と大原国山師、尚道会の白浜豊秋師と土手国礁師、錦友会の鈴川観水師ら数人が中心となり、ウエストロサンゼルス、サンタモニカ、ベニス、カルバーシティーで活動する吟友に、「流派は異なれど、共に吟道を究める仲間同士集まろう」と声をかけたことに始まる。当時、会員数は130人にも上り、定期的に盛大な大会を開くなど吟道精神を継承。その後、民謡やカラオケの普及、また時代の流れにより詩吟をたしなむ人が激減。現在同会に籍を置く会員は、国誠会、錦龍会、錦友会の3流派、約28人となった。
約50人が集まった記念祝賀会では、黙とうに続き、植野宗龍師範(錦龍会)による先導で追悼詩の合吟が行われ、先亡者の面影を偲びつつ、心から冥福を祈った。
あいさつに立った発足当時からの会員、大東国岬師範(国誠会)は、「創立当時は130人という大所帯だった会も、現在は30人を切るほどになってしまったが、会員は変わらず日々練習に励み、吟道を力強く歩み続けている」とし、変わらぬ支援を呼びかけた。
南加詩吟連盟の西川国順理事長、西羅府仏教会開教使の宇宿文章師、元ウエストロサンゼルス大学学長の藤本ジャック博士から寄せられた祝辞がそれぞれ代読され、創立当初から50年間にわたり同会の活動を支えてきた大東氏、植野氏、秦湧叡氏(錦龍会)、重川昭水氏(錦友会)の4氏に、下前委員長から記念品が贈呈された。
続いて開かれた吟詠大会では、会員、来賓、師範の吟詠に加え、50周年を祝う吟舞「祝賀の詞」(吟=重川師範、舞=坂東流の坂東拡三也師範)と、書道吟「桜花の詞」(吟=国誠会の下前国信師範、書=文化書道の小笠原華石師範)が披露され、会場に集まった人を楽しませた。
最後は、出席者全員による「富士山」の大合吟をもって閉会となった。
【中村良子、写真も】
