ロサンゼルス郡保健局は同郡内の医療機関や医師らに、蚊を媒介とするウイルス性伝染病「チクングニア熱」の症状が患者にみられたら警戒するよう注意を呼び掛けている。

 当局によると昨年5月からこれまでに、同郡でチクングニア熱の感染者を14人確認している。ほか25人がチクングニア熱かどうか現在検査中だという。
 感染者の約70%が中央アフリカのエルサルバドル共和国、10%が南米ジャマイカ共和国を旅行中に感染したものとみられる。
 チクングニア熱はネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊がウイルスを媒介して感染する。人から人への直接的な感染はない。
 ヒトスジシマカはカリフォルニア州ではほとんど見つかることはないが、昨年、サンゲーブル・バレーで発見され、ロサンゼルス郡病原体伝染生物コントロール局が、付近の住宅を一軒ずつ回り、殺虫剤を散布した。
 症状はテング熱と似ており、皮膚の発疹や発熱、筋肉痛や関節痛、頭痛などを引き起こす。症状は1週間ほど続き、やがて回復するという。関節痛が1年ほど続くケースもまれにあるという。
 感染地の多くはアフリカや東南アジアの亜熱帯地域で、アメリカ人で最初に感染が確認されたのは2013年。感染地はカリブ海沿岸諸島だった。
 フロリダ州では昨年12月までに11例の感染を確認。全米では他国から帰国した1900人の症例が報告されている。
 昨年12月にはハリウッド女優リンジー・ローハンがフランス領ポリネシアで休暇中、チクングニア熱に感染し治療を受けていたことが報じられた。
 現在までにチクングニア熱に有効なワクチンはなく、治療法も見つかっていないが、死に至る感染症ではなく、予後は比較的良好だという。ただ65歳以上の高齢者には注意が必要としている。

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