日本航空代表取締役社長
植木義晴氏
8年半ぶりにロサンゼルスと大阪を結ぶ国際線を就航した日本航空(JAL)。同社は2010年に経営破綻した。その後、京セラ創業者の稲盛和夫氏が代表取締役会長に就任し、破綻から2年後に過去最高の営業利益を出すまでに再生した。再建の立役者・稲盛氏と、同氏とともに復活への道を歩んだ同社代表取締役社長の植木義晴氏に話を聞いた。【取材=吉田純子】
その後、関西のビジネス、経済界からは復活の要望が多く寄せられ、8年半の歳月を経て復活した。
「同便の再開までにはさまざまな支援を頂きました。再就航の日を迎えられたことを嬉しく思います」と植木社長は話す。
ボーイング787は中型機としては初めて長距離路線でも運行できる機材。飛行時間が10時間以上でも運行が可能だ。
ジャンボ大型機の座席を埋めるほど需要が高くない路線でも、787ならば十分に採算がとれるとの判断から就航に至った。
同社では12年以降に787を導入。ボストン、サンディエゴ、ヘルシンキといった中規模需要の新路線も開設してきた。
787は従来の飛行機に比べ気圧高度が高く、湿度もコントロールできるため、搭乗時の疲労感も少ないという。
植木社長はパイロットとして約40年間、飛行機を操縦してきた。実際に就航日の3月20日、関空から同便に乗ってLAに到着した同社長は、「従来に比べ疲労感が少ないように感じました。お客さまにも快適な空の旅を楽しんでもらえると思います。到着後の体調も良いのではないでしょうか」と乗り心地を話した。
「LA―大阪便は8年半前まではジャンボ機で運行していたため、燃油費が高騰しては収支が出せない状況でした。でも今は787を使用しているので大丈夫です」と自信の程をみせた。
関西の経済界などビジネスの需要が確認できたことも、今回就航につながる大きな要因となった。
毎年訪日客は3割ずつ増加。中国などアジア圏からの訪日客が圧倒的に多いが、米国からも増えている。就航当日も「LA発の便は日本人より、米国人の搭乗客の方が多い印象を受けました」と話し、米国からの観光客にも期待ができそうだ。
ロサンゼルスは海外在留邦人数が最大の都市で、北米最大の需要規模を持つ。
同社はアメリカン航空と共同事業パートナーであり、LA以遠はアメリカン航空の便と接続し、米州域内37地点への乗り継ぎが可能だ。
JALではLA―成田便も1日1往復運航している。今回の就航によりLAと日本を結ぶ便は1日2往復になった。
昨年から羽田が国際空港として始動し、首都圏から海外への便に注目が集まった。「われわれは関西と中部からも路線をはり、今後は地方路線からの国際線も増やしていきたいと思っています」と抱負を述べた。