会場には、同支部発足メンバーである正原祥風教授をはじめ、林田美那子教授、成石紀子教授、ポーター支部長の4人が地元の花材のみを使用して共同制作した大作「LAの春」が展示された他、流祖・小原雲心が考案した水盤を用いて材料を盛るように面的な広がりを強調した盛花や花瓶を使った瓶花、琳派調の絵画的世界を花で表現する琳派調いけばな、4世家元が考案したまわる、ひらく、ならぶ、また5世家元が2年前に考案した花奏(はなかなで)など、時代の変化に合わせたスタイルを用いた作品計56点が展示され、訪れる人々の目に癒しと安らぎを与えた。
正原教授によると、支部創設当時は日本総領事館らの支援もあり、アメリカのデパートやホテル、学校などでデモンストレーションや作品展示などを行い、アメリカ社会にいけばなの魅力が広がり、生け花のコンセプトがさまざまな場で利用されるようになったという。そのため、会員の半数以上は非日系で、クラスは英語で行われている。また、冬になると花材が手に入らず活動を一時休止せざるを得ない地域と異なり、ロサンゼルスには北米一の規模を誇るフラワーマーケットがあり、年間を通じさまざまな花材が手に入ることなどが、最大の規模を誇る理由という。
支部長に就任して3年目のポーターさんは、最低でも年に2回は訪日し、小原流の勉強会に参加して技術と知識を高めている。花屋が花材を選び配達してくれる日本とは違い、アメリカでは自らマーケットに足を運び、各自が花や色の組み合わせを選ぶことから、「よりいけばなの知識が高まる」として、その奥深さに魅了される人は多い。ポーター支部長はいけばなの魅力を、「花を育てることの楽しさ」「花を通じた人とのつながり」「花の存在により豊かになる生活」と語り、より多くの人に日本の伝統文化の1つであるいけばなの素晴らしさを知ってもらいたいと話した。【中村良子、写真も】