地元の花材のみを使用して共同制作した大作「LAの春」と小原流の教授陣。左から2人目がポーター支部長
地元の花材のみを使用して共同制作した大作「LAの春」と小原流の教授陣。左から2人目がポーター支部長

花意匠を鑑賞する来場者
花意匠を鑑賞する来場者
 創立49年目を迎えたいけばな小原流ロサンゼルス支部(ポーター・五月支部長)は11、12の両日、日米文化会館のドイザキギャラリーで春の支部花展「Splendid Flowers of Spring」を催した。花展は2年に一度開催され、本来は昨年春の予定だったが、小原流研究院から横東宏和助教授を招いた「第13回北米コンファレンス」が当地で行われたことから3年ぶりの開催となった。

 会場には、同支部発足メンバーである正原祥風教授をはじめ、林田美那子教授、成石紀子教授、ポーター支部長の4人が地元の花材のみを使用して共同制作した大作「LAの春」が展示された他、流祖・小原雲心が考案した水盤を用いて材料を盛るように面的な広がりを強調した盛花や花瓶を使った瓶花、琳派調の絵画的世界を花で表現する琳派調いけばな、4世家元が考案したまわる、ひらく、ならぶ、また5世家元が2年前に考案した花奏(はなかなで)など、時代の変化に合わせたスタイルを用いた作品計56点が展示され、訪れる人々の目に癒しと安らぎを与えた。

4世家元が考案した、まわる、ならぶなどが展示された会場
4世家元が考案した、まわる、ならぶなどが展示された会場
 1966年に20人弱の会員で創設された同支部には現在、10代から90代までの幅広い年代の会員120人が在籍しており、北米支部の中ではもっとも会員数が多く、活気のある支部として知られる。ポーター支部長によると、人気の秘訣は支部創設メンバーによる地道なコミュニティー活動と、年間を通じて比較的温暖な気候に起因するという。
 正原教授によると、支部創設当時は日本総領事館らの支援もあり、アメリカのデパートやホテル、学校などでデモンストレーションや作品展示などを行い、アメリカ社会にいけばなの魅力が広がり、生け花のコンセプトがさまざまな場で利用されるようになったという。そのため、会員の半数以上は非日系で、クラスは英語で行われている。また、冬になると花材が手に入らず活動を一時休止せざるを得ない地域と異なり、ロサンゼルスには北米一の規模を誇るフラワーマーケットがあり、年間を通じさまざまな花材が手に入ることなどが、最大の規模を誇る理由という。
 支部長に就任して3年目のポーターさんは、最低でも年に2回は訪日し、小原流の勉強会に参加して技術と知識を高めている。花屋が花材を選び配達してくれる日本とは違い、アメリカでは自らマーケットに足を運び、各自が花や色の組み合わせを選ぶことから、「よりいけばなの知識が高まる」として、その奥深さに魅了される人は多い。ポーター支部長はいけばなの魅力を、「花を育てることの楽しさ」「花を通じた人とのつながり」「花の存在により豊かになる生活」と語り、より多くの人に日本の伝統文化の1つであるいけばなの素晴らしさを知ってもらいたいと話した。【中村良子、写真も】

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