小東京のブドーカンは、いよいよ8月の起工式が実現しそうだ。東京の日本武道館に倣った命名なのでここでは読みやすく武道館と表記する。小東京サービスセンター(LTSC)が事業主体者としてゼロから計画推進と資金集めを担ってきたこの一大企画が、総計約2400万ドルといわれる建設資金の予算の内、最近のテラサキ家の基金からの350万ドルの寄付を加えて約90%の達成率に漕ぎ着けたという。残りあと一歩の資金獲得も大変だろうが、9月には着工とめどがついた模様だ。
ここまで来た日系人、つまり日系米国人の努力と成果は立派だと思う。だが地域社会の日本語族や在留日本人からの関心と支援があまり見られないようなのは残念だ。小東京のみならず日系社会に大きな発展と求心力をもたらすと期待されるこの武道館建設に、日本語族からの顕著な貢献が見られないまま完成して歴史となってしまったら日本人としてそれで良いのだろうかと思う。
武道館は完成後は小東京で初の多目的イベント施設として諸スポーツ、武道、文化イベントなど老若男女市民の多様な活動のホームコートのごとき場所となる。例えば日系の中、高校生徒の間で広く熱く盛んなバスケットボール対校試合も各地で行われているのが、今後は武道館に結集し日本語の子も含め子女、父兄共に大勢が交流する場所になる。
LTSCは建設の資金集めでたくさんの日系人や団体からの寄付を集め、さらに諸々の基金から助成金、政府系の交付金などを獲得して来た。その資金獲得の努力と苦労の積み重ねは規模からしても大変だったに違いない。資金集め9割達成は立派だが、あと1割といっても200万ドル以上、まだまだ容易でない。僕はLTSCの人間ではないが勝手に手伝いたいと思い、寄付集めの封筒を同センターでもらい、日本語族のいろいろな集まりで説明して配り、金額に拘らず協力をお願いして来たが、正直なかなか手応えが薄い。今からでも遅くなく、いよいよ肝心の最後の詰めの段階なので、あらためて武道館の応援をここに表明し、金額の大小に関係なく日本語族の人々の寄付支援と歴史への参加を呼びかけたい。【半田俊夫】