前座の第1部は、当地の歌謡界で活躍するアマチュア歌手11人が友情出演。晴れの舞台に備え、鍛えた自慢ののどを披露した。途中、大方の出演者の提案で、今年1月に他界した木原敏之さんを偲んだ。木原さんは、小東京で歌謡教室を開いて当地のカラオケ界を支え、また弦と懇意にし「演歌一夜」を主催した。弦から贈られた「桜川」を歌う在りし日の木原さんのステージが大きなスクリーンに映し出されると、会場からは「木原センセー、ありがとう」などの声援が飛んだ。出演者は、天国の恩人に絶唱を捧げ、ショーが大いに盛り上がったところで、バトンは北川に渡された。
北川は、師匠の弦に連れられ十数年前に小東京でディナーショーに出演した思い出を心の中に大切に仕舞っていたという。ファンには「また来るからね」と、別れを告げており、今公演で10年越しの約束を果たした。
艶のある抜群の声量と歌唱力の持ち主は、どんな音域でも対応できるのが特徴。ショーでは、1月に発売した「ついておいでよ」など持ち歌を軸に、メドレーを含む11曲を歌い上げ、アンコールにもしっかりと応えた。
北川
席上、興行の収益の中から千ドルを二世週祭へ寄付する贈呈式を開き、宇尾野代表が、同祭のレイトン・ハシモト委員長にチェックを手渡した。ハシモト委員長は「とても素晴らしい華やかなショーで、祭りを盛り上げてまた寄付金をもらい感謝している」と述べた。
ショーを終えた北川は、ファンとのふれ合いを楽しんだ。「いいショーだったよ」「また来て下さい」「紅白に出てね」などの励ましの声に「ありがとうございます」「また呼んで下さい」「頑張ります」などと、活躍を誓った。ショーを振り返り「お客さんと一体になれ、歌をやっていてよかったと感じた」と述べた。10年ぶりの再会は「温かく迎え入れてもらい『歌心に国境はない』と実感できた。心に残る実りの多いロサンゼルス公演だった」と喜んだ。再訪米については「(11月にリリースする)新曲を引っ提げて、弦さんと来ることができれば最高」と話した。
宇尾野代表は、ショーについて「皆に素晴らしいショーだった」と誉めてもらい、とてもうれしい。準備で疲れたけど、そういう言葉をたくさんもらって、疲れがいっぺんに吹っ飛んだ。成功できてよかった。木原さんが天国から見守ってくれたからだろう」と語った。二世週祭でショーを開く理由を「(米国カラオケ紅白主催者の)菊地(日出男)さんがずっと夏にやってきたので、受け継がなければならないから」と使命感を燃やし「これからもできる限り、続けていきたい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】