卯月、日本から桜満開のニュースが連日のように届いた。各地の桜の名所はどこも花見客で溢れ、それを取材する側もあらゆる見出しを付けて花の季節を伝える。古今を通じていかに日本人が桜を愛でてきたか、あらためて知る思いだ。
桜の下でピクニックや宴会をするという別の楽しみがあることも、日本人が花見好きな一つの理由かもしれない。平均的日本人にとって屋外でのこうした飲食はこの時期ならではだろう。仕出しや手製の弁当を持ち寄り、晴天の下、時には夜桜を見上げながら、家族や同僚、友人らと過ごす。
そんな時に食べる定番はおにぎり。
コンビニでも手軽に買える国民食といってもいい。豪華な具などなくても、塩だけで十分満足できる。
わが家では子どもの弁当が塩おにぎりだけという時もたまにある。日本人以外の友だちが「スシだ、スシだ」と言って群がるというので、小さめの俵型に握って余分に持たせ、欲しい子がいれば分けてあげるようにしている。
のりも小さめに切って別に包む。のりは食べるときにパキパキがいいか、しっとりしている方がいいか。蓼食う虫も好き好きだ。
ラテン系アメリカ人の知人は、韓国旅行に行った際コンビニで「三角のもの」を買って食べ、それ以来大ファンになったという。韓国でも三角のおにぎりとして売られているのかと、こちらも驚かされた。
小東京ビジネスアソシエーション会長の岡本雅夫さんご夫妻とひょんなことで立ち話になった折、聞いた話が印象的だった。「ランチにおにぎりを持ってくるのは日本人、スパムむすびを持ってくるのは日系人」
なるほど、と思った。私自身、スパムむすびを初めて食べたのはいつだったか。渡米後10年以上たった時にようやくスパムむすびデビューした。その後、見よう見まねでちょっと薄味に作ってみたら、子どもウケは抜群だった。それからというもの、このハワイ生まれのソウルフードを作る機会は格段に増えた。
そうはいっても、やはり10回に1度くらいの割合だ。やはり「日本人はおにぎり」か。【麻生美重】