1957年に第1回、1960年以降毎年日本で行われている「海外日系人大会」は今年が節目の60回目になります。主催は公益財団法人海外日系人協会、ホームページにはその目的が「海外および国内に在住する日系人が母国で一堂に会し、居住国の実情を日本に知らせ、あわせて国際交流、国際理解、国際親善を深め、対日理解の促進を図る」となっています。
 この大会の発端は、「第2次世界大戦中に米国各地の在留邦人、2世等の日系人12万人がキャンプに強制収容され、これに対して日本からは赤十字社を通じ味噌、醤油、日本語書籍などの慰問品が同キャンプに送られました。終戦直後の1945年9月、強制収容所から解放された在米日系人は、自分たちの生活基盤も整わない中、敗戦の混乱と食料をはじめ生活必需品にも事欠く日本の悲惨な状況を聞き、前の慰問品に対する感謝の気持ちから、1952年まで、粉ミルク等の食料や衣料等を『ララ物資』(米国のキリスト教団体、労働組合を中心として結成されたアジア支援組織『LARA』)にのせて祖国日本に送った」と説明されています。
 海外の日系人と祖国日本との心の交流から出発したこの大会には、大会初日の歓迎晩餐会に毎年皇族がご臨席されています。以前、節目の第50回大会には前の天皇皇后両陛下がご臨席になり、周りを取り囲んだ多くの日系人たちと親しく言葉を交わされました。両陛下の異国に移住し苦労した日系人に対する深い思いは人々の胸を打ちました。今年も節目の60回大会、先例から新天皇・皇后両陛下のご臨席があるやも知れません。
 日系人の移住の歴史から参加者は南米諸国からが多く、最近は発展著しいアジア諸国からの参加者も増えています。
 ロサンゼルスから帰国した筆者としては、近年アメリカからの参加者が減っているのが寂しい。今年は第60回という節目の年です。ぜひ一人でも多くアメリカからの参加者を期待しています。
 今年の大会は10月1日から3日までの3日間、詳細は同協会のホームページか各地の総領事館、または日系商工会議所にお問い合わせを。【若尾龍彦】

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