小東京の西本願寺が組織する女子バスケットボール団体「ワンジェッツ」の9年生チームの解散食事会に、一学年下の長女も招かれ同席した。
 高校生になった彼女たちは、それぞれの学校で競技を続ける。毎年8月上旬にラスベガスで開かれる「ハリウッド・ドジャーズ」トーナメントにも記念として初出場した。
 小学校に上がるころから一緒に笑い、泣いてきたチーム。その家族もまた、解散という現実を直視できずにいるようで、はたから見ていても切ない。
 先週末は「パサデナ・ブルーインズ」主催のトーナメントだった。この団体の3年生男子チームが今回で解散するという。理由は不明だが、他団体であっても解散は残念としか言いようがない。
 スタート時点では親がコーチをボランティアで引き受けることが多い。週に一度の練習とはいえ親も多忙だ。責任ある役割を続けることが難しい場合もある。娘のチームもつい最近までメインのコーチ不在で続けてきた。クラブチームほどコンペティティブではないが、日系リーグは独特の理念で選手を指導育成し、スポーツマンシップを兼ね備えた選手を作る伝統がある。コーチもそれに伴う適性を重視される。
 日系リーグは、心身ともに鍛えられた実力ある選手を大学のバスケチームへ輩出してきた軌跡がある。白人や黒人のバスケットボール選手の体型やパワーは、日系人選手の比ではない。けれども日系人には粘り強さがある。それが不利な部分をカバーしてきたのだろう。
 娘がチームに入ってからの数年は日系リーグの意味や歴史について考えたことがなかった。ボールとゴールさえあればできるこのスポーツは、道具を必要とする野球やアメフトに比べ手軽だ。戦時中の強制収容所で唯一皆が親しんだスポーツだったのではないか。8月のベガス遠征は、日ごろ一生懸命に働く日系人の家族旅行も兼ねた一大イベントだったのではないか。日系バスケットボールの歴史に今は想像が膨らむ。
 テラサキ武道館の建設を親たちも募金などを通じ支援してきた。娘のチーム解散前に、ぜひ新しいジムで観戦したい。【麻生美重】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *