先週珍しいイベントに参加した。
シカゴで始めて開催された、業者向け「らーめんEXPO・居酒屋EXPO」で通訳のボランティアを探しているというので、英語に自信があるわけでもないが、担当している料理教室の役に立つ情報があるのでは、という下心もあって同僚とふたりで参加させてもらった。
担当のブースがどこなのかも知らず出向いたところ「北海道から参加された岩田醸造さん、お味噌の会社です」
さあ困った。お味噌の知識といえば、白味噌、赤味噌、麹味噌に西京味噌があるということくらいで、真に乏しい。ふたりで思わず顔を見合わせた。
しかし今更どうなるものでもない。会場が混み始める前に、原料の大豆がどのような工程を経て、目の前に展示されているトレード・マーク「紅一点」味噌になるのか、即席の講義を受けていざ出陣。
もちろん仕事は通訳なのだから、担当の皆さんが来場者に説明されることを正確に通訳すればよいのだが、自分に知識があるのと無いのでは、言葉の意味合いも違ってくるだろう…などと心配する間もなく、次々ブースを訪れるラーメン屋さんや買い付け担当の人々に、「この赤味噌が今一番日本のラーメン・レストランで味噌ラーメンに使われていまして…」などとまるで社員のような口ぶりでにわか仕込みの知識で売り込んでいる自分に気付いたが、出展担当者よりもお客の数が多くなると、ひとり残さず捕まえて(?)味噌ラーメンのサンプル・スープを試してもらう段階まで持ってゆきたいわけで、ついつい出しゃばって頑張ってしまった。
しかし同社の岩田社長はじめ販売の皆さん嫌な顔ひとつせず、終始親切に指導してくださった。
岩田社長の曾祖父が屯田兵として北海道に入植し、樹を切り、根を掘り起こして開墾した土地に、最初に根を下ろして育ったのが大豆だったというお話に、そのご苦労を思い、胸が熱くなる思いもした。
休憩時間には、ラーメン・クラスのための知識も少しは仕込み、醤油と並んで日本が誇る調味料、お味噌の勉強もさせてもらって実に有意義な二日間ではありました。【川口加代子】