薬局やコンビニをうろうろしてみたけど、やっぱり見つからない。花粉症でもないしストックしようと考えたことはなかった。売っていないから使っていないけれど、それでも大丈夫のようだ。
 新型コロナウイルスが話題になりはじめた頃、予防には「マスク」「手洗い」「消毒」の3つが大切と報道されていた。特にマスクに注目が集まったけれど、感染がどんどん拡大するにつれ、伝え方も変化していった。
 きっかけは、パニックともいえるマスクの買い占めや、ネットオークションやフリマアプリでの異常な高額転売だった。医療従事者など本当に必要な人に届きにくくなっているということで、厚労省もWHOも買い占めないように呼び掛けはじめた。
 さらに、マスクに予防効果があるのか、そもそもウイルスを防げるのかなど、何が重要かを検証して冷静さを呼び掛ける記事も出るようになった。
 どうやら重要なのはマスクよりも手洗いだという。基本的にマスクには予防効果はないそうだ。あくまで自分のくしゃみや咳による飛沫(ひまつ)を周りに飛ばさないようにすること、他人の飛沫を浴びないようにすること、あちこち触った手で口や鼻に触れないようにすることだという。ウイルスはマスクの繊維よりもずっと小さいので仮につけていても侵入するそうだ。
 それを知ってから、街中や地下鉄内でマスクの集団を見るとこんな風に思う。どうしてこの人たちは皆そろってマスクをしているのだろう、本当に必要な人たちなのか、無駄遣いではないか、と。
 いざ体調が悪くなったら自分でマスクを作ることもできる。警視庁がペーパータオルを使った簡易マスクの作り方を紹介している。もし店頭で既製品を見つけても必要な人たちに譲りたい気持ちだし、むしろもっと深刻な中国に送ってあげたいくらいだ。ありがたいことに日本の医療体制は整っている。万一感染したら入院して治せばいいと思うようにしている。
 キーワードは「正しく恐れる」。こまめに手洗いをして、専門家の言葉に耳を傾け、冷静に対応する。不安に駆られて買い占めたり、値上がりしたものを買ったり、逆に高額で転売したりしている人たちには、少し冷静になってもらいたい。【中西奈緒】

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