新型コロナで自粛生活になってから、これまで目にしなかったことに出くわす。一糸まとわぬ姿で歩く女、今日で4人目。男は2人。同じ場所ではなく、同じ人でもない。もちろん、その人たちはマスクもしていない。人に話すと「頭がおかしい人だよ」と一笑に付される。では、なぜ今? 前だっていたはずでは? でも見かけなかった。
 マスク不着用に罰金が科せられるようになったが、それを理解できている人が全てではない。感染を抑えるのに必要だと言っても、判断能力に差がある。普通のことが通じると思える人でも3密を理解していない行動をとる人がいるし、注意して聞く人、聞かないで怒る人などまちまち。お店も然り。感染者が出た時、閉めてきちんと対応するところと、そうでないところと。
 出身県の岩手では最近まで感染者が出ていなかった。先週の連休に経済活動を活発にとGoToキャンペーンが始まったが、それで感染者がもっと出るかもしれない。人が動けばウイルスも動く。ずっと出ていなかったので、さすが消毒の大切さを言っていた宮沢賢治の出身県だと言われていた。確かに結核を患った妹の見舞いに毎日通っていて罹患(りかん)しなかった。手洗いは基本中の基本ということだ。県民一人一人が自分は感染しないように努めていると聞いた。
 1人の感染がみんなに、と考えて予防に努める。それはここにはないように思う。それぞれが自分のことだけを考えて、勝手な行動をとる。自分が自由にふるまえる環境に「早く戻そう」ではなく、「自分だけは特別」だと主張して、感染拡大を抑える方法に従おうとしない。周りへの影響は考えず、結果的には自分にとってもいいことなのにそれが理解できずに自分の不自由さを長引かせている。
 自粛生活でたくさん本を読んだという人も多い。私が高校生の時に割腹自殺を遂げた三島由紀夫について書かれた野坂昭如の本を見つけた。2人の生年が両親と同じだった。年代の因縁とまではいかないが何かえっ? という感じを抱いた。生き残って誕生日を迎えた父からの手紙にこれまでの苦難が書かれていた。
 通りの清掃では毎回、ごみを見ては「?」と首をかしげる。はてなは続く。【大石克子】

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