世界で最も人気の高いスポーツ、サッカー。その頂点を決めるワールドカップ(W杯)で、各国が熱戦を繰り広げ11日の決勝がワクワクする。世界の何十億人という人々が観戦し、母国チームを応援する熱狂ぶりが伝えられ、サッカーを国技とする国がこれほど多いものかと思い知らされた。
W杯で岡田ジャパンは苦戦という大方の予想に反しベスト16入りし、列島を沸かせてくれた。盛り上がったのはいいが、4年に1度のお祭り騒ぎで終わらせてはならない。チームをまとめた川口主将が帰国し「Jリーグをこれから応援してほしい」と頼んだように、熱狂的なファンとなって、国民的スポーツになるまでに地位を押し上げてもらいたい。そうなれば、日本はもっと強くなり応援のおもしろさは増し、愛国心も強まることだろう。
残念ながら日本は今回、最後となった試合で惜敗し姿を消した。「よくやった」と皆が称賛し、私もそのように思う。だが、列強を見てみると国民の見方は実に厳しい。あるチームは日本と同じ準々決勝敗退後、監督が解任された。大会前から次期候補を用意していたのだろう。すぐさま、新監督が抱負を述べたのには驚いた。
サッカーの発展途上国日本で、国技とされるのが相撲。日本相撲協会で近年、相次ぐ不祥事は治まることを知らない。今回はW杯と同時期に日本代表と肩を並べるほど注目を集めたが、その内容は大きく異なる。
角界は、礼儀や縦社会での厳しい規律などを徹底し見習うことが多い。300年以上続く日本文化を守るのは非常によいこと。しかし、悪しき伝統の「継承」はいただけない。今回の賭博事件で問題となった力士、親方は数百、数千万の額をつぎ込んでおり度を超してしまった。世論も解雇の処分に当然と納得だった。時間がかかると思われるが、相撲道に精進し地道に信頼回復に努めるしかないだろう。
サッカーと相撲。すべてのスポーツにいえることだが、ファンが支えるもの。国民の支持をさらに得て国技として栄えさせなければならない。【永田 潤】