全米で異人種間の結婚数が480万組(夫婦12組のうち1組に相当)と過去最高に達したことが、ピュー・リサーチ・センターの調査で明らかになった。
調査は2010年の国勢調査および08年から10年のACS(American Community Survey)の統計をもとに行われた。それによると、現在結婚しているカップルの8・4%は異人種結婚で、1980年の3・2%から大幅に増加している。
また全米で2010年に結婚した人の15%以上が異人種結婚で、人種別に見ると、白人とヒスパニック系カップルが43%ともっとも多く、次に白人とアジア系が14・4%、白人と黒人が11・9%だった。
ハワイ州や、ネバダ、ニューメキシコ、カリフォルニア州のようにアジア系やヒスパニック系移民の多い西部諸州では、5人に1人が異人種結婚をしている。一方、人口のほとんどが白人のバーモント州は4%と全米の中でもっとも少なかった。
また、18歳から29歳の61%が「異人種間の結婚は社会全体を良くする」と答えており、西部や北東部諸州に住む若年層やマイノリティー(少数派の人種)、大卒者にこの傾向が顕著に見られた。65歳以上の年齢層では28%だった。
1967年に最高裁が、異人種結婚を禁止する法律(混血禁止法)に違憲判決を下してからおよそ半世紀がたった今、多くの人が異人種間の結婚に偏見を持たなくなってきている。
87年には「黒人と白人が交際することにまったく抵抗がない」と答えた人は48%だったのに対し、現在では83%にまで増え、国民の意識も変化してきた。また全体の63%が「家族の一員が異人種と結婚することに抵抗がない」と答えた。
「人種とは社会的構成概念であって、実在するものではない」—と語る弁護士のジョナサン・ブレントさん(28)は白人の父と日系人の母をもつ。南カリフォルニアで、多人種メンバーで構成されたグループの運営を行っており、「自身のバックグラウンドは、あらゆる状況を異なる視点から理解するうえで大きな手助けになっている」としている。
調査では、異人種間結婚をした夫婦の年収に関するデータも発表され、アジア系と白人の夫婦の平均収入が一番高くおよそ7万1000ドル、続いてアジア系同士(6万2000ドル)、白人同士(6万ドル)、白人とヒスパニック系(5万7900ドル)、白人と黒人(5万3187ドル)、黒人同士(4万7700ドル)、ヒスパニック同士(3万6000ドル)となっている。
国勢調査でもマイノリティー人口の8%に当たる約900万人が2種以上の人種に属していると答えており、異人種結婚の増加により、2050年ごろまでにはマイノリティーが多数派に変わるだろうと専門家は予測している。