シニアという表現は通常、年齢に関係なく、年少者であるジュニアに対し、年長者を指すものだが、ただ単に上級者や年長者を指すこともあるようだ。
 特に日本語でシニアというと年齢的に老境の域に達した人、例えば、会社を定年退職し、その後は職を持たずに趣味に生き、悠々自適の人をイメージする場合が多い。
 日本では「オレはシニアとは呼ばれたくない!」という人が多いと聞く。映画館や遊園地などの入場料にシニア料金があっても、通常料金を支払っている人さえいるそうで、人が老化することへの恐怖をこんな意味のないかたちで示してしまうのだろう。
 かつて団塊の世代といわれた日本のベビーブーマー時代の若者たちが老年者たちをシニアと称したと聞いたが、団塊が若かったころはシニアも50歳代ぐらいの若さだったものが、時代とともに変化し、シニア年齢も高齢化が進んでいるようだ。
 このように「何歳以上がシニアか」というような年齢的定義があるわけではないので、私は勝手に自分の主観で「シニアの定義」をつくっている。
 私がイメージするシニアとは、日本の厚生労働省が出している「健康寿命」から外れた人だ。「健康寿命」とは「介護を受けたり、病気で寝たきりにならず、自立して健康に生活できる」人をさす。
 日本の場合、平均寿命と健康寿命との差は、男女ともにほぼ10年の差があるといわれる。身の回りのこともしっかり出来ず、ただ長生きでは少々さびしいことであり、出来れば避けたいのだが、こればかりは天から与えられた宿命であり、希望通りにはゆかない。本人だけでなく、要介護の場合は介護者の心身、物心あらゆる面での負担は尋常ではないと思われる。
 介護生活は、当人だけでなくその家族にまで負担をかけるもので、誰もが避けたい事態だが、どれだけ気をつけても、生きている限り齢をとり、老化は進む。そして怪我や病気による寝たきりリスクは高まる。
 だからこそ、寝たきりにならないための介護予防が大切なのであり、これこそが国家をあげて取り組むべきシニア対策であり、重要性が増す課題といえるだろう。【河合将介】

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