ロンドンで法廷弁護士として働く学生時代のイギリス人ルームメイトから、久しぶりにメールが届いた。「来年ロサンゼルスで開かれるコンファレンスに出席したいんだけど、良子の家に泊まらせてもらえるかしら」。彼女と会えるのは、2年前に私がイギリス、フランス、オランダを旅行した際、14年ぶりに再会し、地元を案内してくれて以来となる。
 「もちろん。コンファレンスはどこであるの? 自由な時間もあるのなら、ぜひロサンゼルスを案内させてね」と返事を打つと、場所は現時点では未定というが、前回はバーバンクだったという返事が来た。「バーバンクは良子の家から近いのかしら?」
 そんな質問を受け、「車がない人が、ウエストロサンゼルスからバーバンクまで行くには何を利用し、一体どのくらいの時間がかかるものなのか」という素朴な疑問が湧いた。
 さっそくメトロのホームページにある「トリップ・プランナー」に情報を入力すると、いくつか候補が挙がる。大抵は、バスでダウンタウンのユニオン駅まで向かい、電車メトロリンクでバーバンクまで行くというもので、乗り継ぎがうまく行けば1時間半だが、中には2時間を超えるものも。フリーウエーの渋滞を考慮しても、やはりまだ車の方が早いのが現状だ。
 メトロが公共交通機関の充実に力を入れているのは言うまでもない。鉄道だけで5つの事業が進行中で、路線は延伸を続ける。しかし、ダウンタウンの東南はアトランティック駅以降未開発、そしてウエストロサンゼルスとバレー地区を結ぶ路線も存在しない。
 ロサンゼルス観光局の発表では、2014年にロサンゼルスを訪れた観光客は4420万人で、過去最高を記録、市に196億ドルをもたらした。近年市内での映画やテレビ撮影が激減し、ガーセッティー市長が13年に非常事態宣言を発令するほど深刻な状況の今こそ、公共機関をさらに充実させ、車を運転しない観光客にもロサンゼルスを満喫してもらえるよう、メトロにはさらに頑張ってもらいたい。【中村良子】

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