バドミントンの有望な選手2人が、闇カジノに出入りしていたことが分かり、リオ五輪出場の可能性は消滅した。一人は世界ランキング2位の選手だという、なんてことを…。言葉も無い。「法令遵守の意識がかなり欠如している…」と涙で絶句した日本バドミントン協会の専務理事の言葉に共感すると同時に、その姿が印象に残った。というのも、先日来の野球賭博に揺れる球界の対応を見ていて「なにか、違うぞ?」という思いがあったから。
試合前の円陣で声出しした選手が、勝ち試合の後で他の選手から金銭を受け取っていたという耳を疑うような報道。巨人選手の告白で各球団が調査の結果、12球団中、8球団でこの慣習が常態化していたという。
球団社長や関係者の説明は…チームの士気を高めるため、自身を鼓舞するため、厳しい練習のモチベーションを維持するため、験担ぎ、と一様に擁護の姿勢だが、それらはお金を賭けないと湧いて来ないものなのだろうか? 少額だから賭博には当らないとも言っている。この際ハッキリさせておくべきだが、賭博とは「金銭や物品を賭けて勝敗を争う遊戯」で、額の多寡に関わらず刑法上も立派に賭博に当る。勝ったら明日のランチをおごるという程度なら、賭博にならないが、おカネを賭けると、たとえ少額でも賭博に当るのだ。「些細なかけ事まで全て検挙すると、警察官が国民の無用の反発を買うことになるから見逃しているだけ」なのだと(賭博捜査の実務について著した文献)が説明している。
考えてみるに、円陣で「がんばろう!」などの声出し選手は、勝ち続ければ次回も声出しするので何十万円も儲かりっぱなし。で、一方、一度もその役をしなかった選手はお金を出すばっかりで、いい加減負け試合にしてくれという気持ちにならないだろうか? スポーツマン精神がなんともお粗末なところに行きつく。
試合前の円陣は皆が見ている。あの中で賭けが行われていたなんて、誰が想像出来ただろう。言下に「お金を賭けたらダメでしょう!」というのが一般人の感覚。チーム教育はもち論のこと、球団幹部の意識改革が必要だ。【中島千絵】