今年も鹿児島からのホームステイのプログラムを行いました。これは私の子供たちが毎夏、鹿児島の学校で体験入学を受け入れていただいたお礼にと、学校に提案をして始めたものです。アメリカの文化や言葉に触れる機会をつくることで、多様な考え方や違った文化があることを知ってもらおうという試みです。日本から一度も出たことがない子供たちですから、外国がどういったところなのかテレビなどのメディアを通してしか知りません。そして鹿児島からの子供たちは、アメリカは危なくて怖い所だというイメージを持っていました。
 その子供たちと羅府新報を訪問しました。建物の受付には背が高く屈強そうなアメリカ人のセキュリティーの人が座っていました。アメリカ人は怖いというイメージを持っていた鹿児島からの子供たちは、そこを通るときにはとても緊張していました。しかし帰り際に英語でのあいさつを交わして握手をしてもらいましたら、子供たちの表情が笑顔に変わっていきました。後で感想を聞いたら、「最初は怖い人かと思ったけど、握手をしたら、大きくて温かい手だった」「やさしそうだった」と言っていました。たった一言の会話と一度の握手で、相手に対するイメージが変わっていったのです。世界中の人種間のいさかいなど、もしかしたらそんな小さなきっかけからも解決ができることがあるのではないか、と思ったほほ笑ましいできごとでした。
 日本では留学する学生が減少、停滞し続けています。ネットで国際情報も知ることができるし、海外に行かなくても手軽に駅前留学できることも原因かもしれません。異文化を知ることは、自分の価値観を変えることにもつながるので、受け入れにくいということがあるのかもしれません。経済的、時間的なリスクを避ける合理的な志向があるのかもしれませんが、頭の中でイメージしたことと、本当に交流することには大きな差があります。外を知ることは、常識を疑い、自分を知り、自らを成長させることにつながると信じています。小さな交流ですが、今回訪米した子供たちにも、交流の大切さを理解してもらい、伝えてもらいたいと思いました。【朝倉巨瑞】

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