年が明けて最初の週末に告別式があり参列した。
 故人が99歳6カ月と高齢だったこともあり参列者も一通りお悔やみは述べても湿っぽさは無く、もっぱら楽しかった故人との思い出話に花が咲き、参列者同士が旧交を温め合う風景があちらこちらでみられた。
 そういう私もご無沙汰をしていた友人、知人に久しぶりに会えて、告別の会場で新年のあいさつを交わすことになった。
 ところが式の始まるのを待つ間と、終了後のお茶の時間、そして教会を出るまでの間に、7人の人から同じ質問を7回受けた。
 「まだコミュニティー・センターで仕事をしているの?」
 という質問である。どうして「まだ」が付くのか。
 私がリタイアの年をとうに過ぎていることを知っている人や、ぐずぐずしている私を残してサッサと退職してリタイアを楽しんでいる元同僚たちだからである。
 「皆に同じ質問をされているんだけど、まだ…もうそろそろ辞めたほうがいいのかな」
 と応えると、答えはふたとおりで、「いやいや、まだ仕事が出来るなら辞める必要ないよ。急に辞めると体に悪い」
 「あくせく仕事に追われて楽しむ時間もないでしょ。元気なうちにリタイアしなさい」
 どちらも一理あるが、自分の気持ちとしては、まだお役に立つなら仕事を続けても、に傾いている。ところが昨年はとんでもない度忘れで、人に迷惑をかけ、いよいよ限界かと思ったこともあるが、忙しくてきりきり舞いしながらも、自分の中のどこかに仕事を楽しんでいる部分があるのは否めない。
 物事続くものでこの後、第3と第4の日曜日に1件ずつメモリアル・サービスの予定が入っている。
 みんな大なり小なり日系の歴史を生きた人々であり、それぞれに生前いろいろお世話になった故人であれば、お別れの式には出来るだけ出席するようにしている。
 さて、またその集いで何人の人から同じことを聞かれることやら。
 ことしで、今の職場では勤続20年。もうそろそろ、と肩たたきをされることも考慮に入れて、どうやらこれが今年の、私の課題になりそうだ。
 皆さま、明けましておめでとうございます。【川口加代子】

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