今上天皇ご在位30周年のお茶会、このお茶会は在位10周年、20周年と10年ごとに行われてきたが、今回はご在位最後の記念お茶会ということで、2月25日のご在位30周年記念式典の後、閣僚など450人が飲み物を片手に、両陛下と皇族の方々と歓談を楽しんだ。
お茶会は翌日も午前と午後に合計で3回、皇居の一番大きな部屋・豊明殿を使って行われた。平成に活躍した各界のゲスト、野球の野茂英雄、王貞治、平泳ぎの北島康介、女子レスリングの伊調馨、サッカーの三浦知良、砲丸投げの室伏広治、登山の三浦雄一郎、など、総計で2100人のゲストが招かれた。
東北大震災で1年間外傷痕の治療をした高須克弥、被災者にヒマワリの種を配り続けている葛西紀明などの被災地支援者、太平洋戦争の戦地からの帰還兵の二人など、両陛下のお心配りがその人選にも見られた。
お土産は恒例のコンペイトウ入りの菊のご紋章つきのボンボニエール(お菓子入れ)である。
平和憲法を一番体現されたのが今上天皇、各戦地での慰霊・被災地への思い、権力でなく国民へ寄り添うお心配りと行為で育まれた権威で、国民の幸せと世界の平和を願い続けられた。30年のご在位中に全都道府県を2巡、訪れた島は55島、海外36カ所をご訪問。訪れた国々では国民との交流や戦没者の慰霊を行われ、その国の人々にも敬愛されるお姿を見せてその存在は大きかった。
ご在位中に平和が保たれたことを一番喜び安堵された両陛下は、30年間常に国民に寄り添い、国民の幸せと安寧を祈って来られた。象徴天皇の道を探し求められた旅も終わりに近づいた。皇太子さまも、きっとその意志を継いで新しい象徴天皇として立派にその役目を果たされるだろう。
平成の世を過ごしたわれわれにとって、お別れを惜しむと共に、両陛下に心から感謝の念を捧げたい。【若尾龍彦】