ふと日本における歴史的争いを調べてみた。
939年、関東地方で朝廷に対し反旗を翻した「平将門の乱」。
1582年、重臣の明智光秀が織田信長に対し「下克上」といわれる謀反を起こした「本能寺の変」。
1614年と1625年、豊臣秀吉死後の豊臣軍と天下統一を確立する幕府の徳川軍の政権を争った「大坂冬の陣」と「大坂夏の陣」(当時は「大阪」でなく「大坂」)。
1877年、西郷隆盛が引き起こした国内最後の内戦といわれる「西南の役」。
1931年〜1932年、満州における関東軍と中国軍が戦闘した「満州事変」。
その後、戦争、世界大戦へと突入していくのだが、今更気付いた点がある。そもそも乱、変、陣、役、事変の違いとは何なのだろうか?
「乱」は、朝廷や幕府の政権に対し大規模な反乱を起こしたが、鎮圧され、政権獲得に失敗した争い。
「変」は、政権が倒れたり変革に成功した争い。
「陣」は、権力者による命令のもと、その傘下の勢力が義務的に参集した戦い。城を攻めたり、局地的な争い。
「役」は、国が国境を守るために兵士たちを徴用する兵役、戦役的な意味を含めた戦い。
「事変」は、宣戦布告無しに開戦した通常明治以降の武力衝突。
しかし、どれもあくまでも大まかな説明による使い分けで、必ずしも的確に当てはまらないこともご了承願いたい。
「西南の役」は「西南戦争」ともいわれたり、「大坂冬の陣」と「大坂夏の陣」を合わせて「大坂の役」とも呼ばれる。
1600年の毛利輝元、石田三成を中心とした西軍と徳川家康の東軍の戦闘は、「関ヶ原の戦い」、「関ヶ原の合戦」と教科書には表記されている。
1860年の「桜田門外の変」はいわゆるクーデターなのだが、「桜田事変」とも呼ばれる。
さらに「戦争」とは宣戦布告した戦いという解釈のようだが、アメリカが介入した「ベトナム戦争」も、2003年の「イラク戦争」も正式には宣戦布告していない。後者は大量破壊兵器を除去が大義名分だ。
ちなみに日本国憲法第9条によって日本は宣戦布告できない。歴史から学び、争いのない平和な世界を望む。【長土居政史】