アメリカの女性テレビスターが監修した補正下着の新ブランドがこのほど、発表された。商品は女性の体のラインをより美しく見せるという。
そのブランド名が、物議を引き起こした。日本の「KIMONO(着物)」と命名されたからだ。日本や各国の人々から「日本の伝統文化への侮辱だ」などと非難を浴び、各ソーシャルメディアで「炎上」。申請されていた商標登録に対し、サイトでの反対署名は13万人を超え、経済産業相や京都市長までもが遺憾の意を表し、驚いた。
日本人の私にとって、サリーやチマチョゴリなど他国の民族衣装から取った名なら、人ごとで済み何とも思わなかっただろう。だが、自国の文化に関わるだけに気になった。
初めて着物を着た七五三を思い出しながら、日本人が着物を身に着けるのは、新年などの祝いや卒業式、結婚式、葬儀など、特別な機会であり、やはり下着に命名するのはいいことではない、と反対者の意見に同調した。ニューヨークタイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ロサンゼルスタイムズなど有力紙にも取り上げられたことで問題の半面、日本の「KIMONO」が認知されていることに、うれしさを覚えた。
当のスターは、ソーシャルメディアで1億6千万人というフォロワーを抱えるインフルエンサーである上、やり手の実業家とあって、すぐさま民意を真摯(し)に受け止め、改名を表明し、予期せぬ騒動について他意はなかったと釈明した。ただ、アメリカではKIMONOという商標は他でも使われているし、注目される立場だったため問題になった、と本音も付け加え、同情できる。
人気のラッパーのご主人とともに、何度も訪日したことがある大の親日家の言葉「日本に尊敬の念ある」は純粋な気持ちで、偽りはないだろう。着物と名付けたのは、日本と日本文化をこよなく愛す表れで、日本文化の冒涜や侮辱などと批判され、さぞ傷ついたことだろう。
現在考案中の新ブランド名の発表が楽しみ。日本関連のすばらしい名称になって、みんなで喜びを分かち合えればいい。【永田 潤】